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古古米・備蓄米はまずい?実態調査から導く「まずい」と言われる理由と原因を解説

    2024年に発生した米騒動。2025年も米不足は続いており、流通量の不足・価格高騰に対して政府が2025年の5月頃から備蓄米を放出することになりました。

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    そこで注目を集めたのが、古古米や古古古米です。(注:2025年現在、2021年産のお米が「古古米」にあたります)

    「古」という言葉が使われていたり、実際に長期間に渡って保存されていた事実もあって古古米・備蓄米に対して「まずい」などの感想が聞かれることが増え、もしかするとこの記事を読むあなた自身もそう感じたご経験があるかもしれません。

    ではなぜ古古米や備蓄米を「まずい」と感じてしまうのか? 「古古米がまずい」「備蓄米がますい」とどれくらいの人が感じているのか? そもそも、本当に古古米や備蓄米はまずいのか? 古古米・備蓄米を美味しく食べる方法はないのか? などを、全国のこだわりのお米・お米にまつわる道具などを扱う専門サイトである「ソラミドごはん」の編集部が調査・整理してみました。

    古古米・備蓄米は本当にまずいのか?実態調査

    まずは古古米・備蓄米が本当にまずいのか?についてSNSでの生の声を調査しました。X(旧Twitter)を使って、ネガティブ、ポジティブ、中立の3つの立場でそれぞれどのくらいの投稿数があるのかを独自に調査しました。

    【調査概要】

    • 調査期間:2025年5月〜9月
    • 調査媒体:X(旧Twitter)
    • 調査方法:ネガティブ、ポジティブ、中立の3つのカテゴリで分類した投稿を独自調査・集計
    • 合計投稿数:1,950件

    その内訳は以下の通りです。

    意見投稿内容に見られる声の例投稿数(実数)割合(総投稿数比)
    ① まずい(ネガティブな発信)「不味くて食べられない」「古い匂いが気になる」「一般米より劣る」など1,270件65.2%
    ② 美味しい(ポジティブな発信)「想像以上に美味しい」「新米と遜色ない」「味に満足した」など500件25.6%
    ③ 中立な意見
    合計
    「不味くはない」「工夫次第で許容できる」「冷凍ストックには最適」など180件9.2%
    合計1,950件100%

    結果は上記のとおりで、はじめて古古米・備蓄米というものを食べた消費者がほとんどだったことからか、「まずい」という意見が多く見られる結果となりました。

    古古米・備蓄米が「まずい」と言われるのはなぜ?

    では次に、上記の調査結果をもとに古古米・備蓄米が「まずい」と言われる具体的な理由について見ていきましょう。実際の投稿から引用しつつ、代表的な理由をご紹介します。

    「パサパサ」「硬い」など食感への不満

    備蓄米や古古米がまずいと主張する理由で最も多く見られるのが「食感」です。

    これは長期保存によるお米の「乾燥」が原因で起こり、購入者からは「パサパサで粘りがない」「新米と同じ水加減で炊いたら芯が残って硬いご飯になってしまった」「ボソボソしている」「水分がない」といった不満の声が多く聞かれます。

    お米は保存期間が長くなるほど水分が蒸発し乾燥が進むため、お米そのものに水分が含まれないのはもちろん、炊飯時に水を吸いにくくもなってしまいます。

    そのため、普段と同じ(流通しているお米の)炊き方だと芯が残ったような硬さやパサパサ感が生じて、私たちが慣れ親しんでいる米の食感との違いから、「まずい」という評価につながりやすいと考えられます。

    ※なお、お米の正しい保存方法(長期保存するコツ)は「お米を長期保存する方法【お米ソムリエ時吉涼子さん監修】最適な保存場所・量・期間まで解説」で解説していますので、合わせてお読みください。

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    独特な匂い(古米臭)への抵抗感

    味そのものよりも、炊き上がりの匂いに抵抗を感じるという声も多く見られます。

    実際の感想としては「炊き立てなのに油が酸化したような独特の匂いがする」「酸っぱいような、古い油のような『古米臭』が気になって食べられない」といった、風味に対する厳しい意見があります。これは、お米に含まれる脂質が長期保存中に空気に触れて「酸化」することで独特な匂い(古米臭・劣化臭)を発生させるためです。

    特に高温多湿な場所に備蓄されていた場合、酸化はより早く進み、またお米は周囲の匂いを吸着しやすいため、備蓄場所の生活臭が移ってしまうことも異臭の原因となります。

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    甘み・旨みの低下による「物足りなさ」

    ふつうのお米に比べて、味が淡泊で物足りないという感想も、多くの人が抱く共通の不満です。これは甘みや旨みが低下していることの現れです。

    「普段食べているお米に比べて、甘みも旨みも感じられず、味気ない」「おかずがあれば食べられるが、白ご飯単体としては新米に劣る」といった声が寄せられています。これは、お米が時間の経過とともに、本来持っているでんぷんやアミノ酸などの成分が変化し、甘みや旨みの元となる風味が徐々に失われていくためです。

    特に新米特有の豊かな風味やしっかりとした甘さに慣れている人ほど、備蓄米を食べた際の「味の薄さ」を強く感じ、結果として「まずい」と評価しがちになります。

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    逆に古古米・備蓄米が「美味しい」「思ったより美味しい」という意見も

    一方で、備蓄米や古古米に対して「むしろ美味しい」「意外と美味しい」といった肯定的な意見も多数投稿されていることも事実です。ここではその例をご紹介します。

    純粋な「美味しい」という声

    一部の消費者からは、驚きを超えて「純粋に美味しい」「ふつうに美味しい」という声や、過去に購入した高価な銘柄米よりも美味しいと感じたという意見も出ています。

    これは、備蓄米の品質が一定レベルに達していること、または消費者の間で品質の差が許容範囲であることの表れと言えるかもしれません。

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    前評判と違うギャップから生じる「美味しい」

    テレビをはじめとしたメディアなどで「まずい」と聞いていたからこそ実際に食べてみて「意外と美味しい」「良い意味で想像と違う」「全然普通で驚いた」「新米との違いが分からない」と感じることも多いようです。

    購入前の低い期待値と実際の食味との間にギャップがあり、その安堵感や驚きがより「美味しい」と感じる要因になっているのかもしれません。

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    コスパを考慮した「美味しい」という声

    次にコスパを考慮した「美味しい」という意見です。

    備蓄米・古古米の販売価格は銘柄米の半額以下という低価格です。その価格に対してこの風味…という前提があると肯定的な「美味しい」という評価につながるようです。

    「この値段なら十分満足」「家計が本当に助かる」という、経済的なメリットを前提とした上で味を評価する声が聞かれ、備蓄米を買うのは賢い選択だという肯定感を醸成しているのかもしれません。

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    「お米自体の入手困難さ」を踏まえた「美味しい」の声

    最後に、お米自体の入手困難性を考慮した「美味しい」という意見もあるようです。

    一時期。米騒動真っ只中の時期はスーパーなどでお米の販売自体がない等の状況が多々ありました。それに比べれば古古米・備蓄米は入手しやすく、販売から数時間で完売するほどの人気は、お米を購入できたこと自体に価値と満足感を生み出し、それがより肯定的な評価をする動機になっているのかもしれません。

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    古古米・備蓄米が「まずい」と「美味しい」の意見差まとめ

    ここまでの内容を踏まえると、古古米・備蓄米が「まずい」と「美味しい」という意見は下記の表にまとめたような差があるようです。

    項目「まずい」という意見の具体例「美味しい」という意見の具体例
    香り「倉庫のような匂い」、「古本のようなニオイ」、酸化臭が気になる 問題になるほどの匂いはない 、炊き上がりに気になる匂いはなし
    食感パサつき、粘りのなさ、硬さ 、「パラパラ」とした口当たり少し硬めだが問題ない 、炊き方の工夫で普通に食べられる 、粒立ちはしっかりしている
    味・風味甘みや旨みが欠けている 、味が薄い普通に美味しい 、甘みも感じられる 、他社の高価な米より美味しい
    外観黄色味がかっている、艶がない見た目は普通のお米と変わらない 、粒は揃っている
    価格(言及なし)非常に安価で家計が助かる 、コストパフォーマンスが高い
    総合評価白米単体では厳しい 、新米には劣る予想外に美味しく驚いた 、「この値段なら十分満足」、問題なく美味しい

    古古米・備蓄米がまずいと感じる科学的な理由

    古古米・備蓄米の風味が落ちてしまうのには科学的な理由があります。まずいとされる要素は「古米臭(油臭)」と「パサつき・芯残り」と「甘み・旨味の欠如」がありますが、それそれ次のような原因があります。

    臭い:「古米臭(油臭)」の原因

    これは、米に含まれる脂質の酸化が原因です 。

    白米は精米されていても、米粒の表面には微細な糠(ぬか)の成分が付着しています。この残留した糠に含まれる脂質が、長期間、特に常温で貯蔵されるうちに空気中の酸素と反応して酸化してしまい、この酸化によって生成される揮発性の化合物があの「古米臭(油臭)」の原因なのです。

    この脂質酸化は単に空気に触れているだけで進むのではなく、米粒の内部にある酵素(リポキシゲナーゼなど)がさらに促進することがわかっていて、より古米臭の原因となる成分を溜め込んでしまうのです。

    食感:「パサつき」「芯残り」の原因

    次にパサパサする食感や芯が残る原因は、米の主成分であるデンプンの「老化(β化)」が原因です 。

    デンプンの構造は時間と共に変化(老化・β化)し、水分を吸収しにくい状態になってしまいます。つまり古古米・備蓄米は吸水性が悪化しているお米といえるのです。

    そのため炊飯前に十分な時間浸水させておかないと、米の中心部まで水が浸透し切らず、炊飯後も水分が足りずに「パサパサした食感」や「芯が残った食感」になってしまいます。

    旨味:「甘み・旨味」の欠如の原因

    最後に、「旨味」や「甘み」が感じられない理由は、新米が本来持っている「炊き立ての甘い香り」や豊かな「甘み・旨味」といった成分そのものが、時間とともに失われてしまうことによります 。

    古古米の状態では、これらの風味は「ほとんど感じにくい」レベルまで減少してしまうので、「甘みがない」「旨味がない」と感じてしまうのです。

    古古米・備蓄米を美味しく食べる方法

    では最後に、古古米・備蓄米を美味しく食べるためのポイントをいくつかご紹介します。

    備蓄米や古古米は、適切な調理をすれば乾燥や古米臭といったデメリットを解消しつつふっくらとした美味しいごはんに生まれ変わります!

    研ぎ方・浸水方法&炊飯前に一手間加える

    最も重要なのが研ぎ方と、浸水方法です。

    また、古古米・備蓄米に不足している食感や風味を補うために、調味料などを加えるなどの方法もあります。

    詳しくは下記の記事で詳しく解説していますので、ぜひ読んでみてください!

    ※関連記事:古古米・備蓄米の美味しい食べ方まとめ【研ぎ方や浸水~調理法まで】臭い・パサパサを解決する方法を専門家が解説

    炊飯後にも適切に保存する

    最後に、炊き上がったごはんの鮮度を保つための保存方法も大事です。

    まず長時間の保温はしないことです。炊飯器の保温機能は、黄ばみや古米臭の再発生の原因になるので、炊き上がったごはんは早いうちに食べきるのがおすすめです(そのためにも、1回の食事で食べきる量だけ炊くのがいいでしょう)。

    また、一度に食べきれない場合は「冷凍保存」もおすすめです。温かいうちに一食分ずつラップで包み冷凍庫に入れて保存しましょう。炊き上がりの美味しさを閉じ込めることができます。

    冷凍保存のコツについては、こちらの記事もぜひご覧ください。

    食感を生かした料理にする

    古古米・備蓄米の食感を逆手にとって、その特性を活かせる料理にするのもおすすめです。

    一つは「強い味」の料理です。カレーライス、丼物、ドリアなど、タレや具材が主役の料理で美味しく消費できます。特にカレーライスは現地ではパラパラとしたあっさりした食感のお米を使用しますし、相性が良いでしょう。

    もう一つは「パサつき」を長所にする方法で、水分が少ないためパラパラのチャーハンを作るのに最適です。またリゾットや雑炊にすれば、煮込む過程で硬さが解消され、口当たりも良くなります。

    ごはんを使ったレシピについては、こちらもぜひ参考にしてみてください。

    結論:古古米・備蓄米は決して「まずくない」!

    古古米・備蓄米は、X(旧Twitter)での調査では食感(パサつき)や独特な匂い(古米臭)、甘み・旨みの低下などから「まずい」と評価する声はあるものの、一方で「想像以上に美味しい」「この価格なら十分満足」といった肯定的な意見があるのも事実です。

    また、むしろ古古米や備蓄米が合う料理もあり、ほんの少しの手間で美味しく食べる方法もありますので、決して備蓄米・古古米がまずいと断言することはできないでしょう。

    古古米・備蓄米はまだ市場に出回る時期は続きそうなので、この記事を参考に炊き方や調理法を工夫して、上手に古古米・備蓄米を上手に付き合っていきましょう!

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