古古米・備蓄米の美味しい食べ方まとめ【研ぎ方や浸水~調理法まで】臭い・パサパサを解決する方法を専門家が解説

古古米・備蓄米が「臭いが気になる」「パサパサで美味しくない」など感じたことはありませんか?
「古古米(ここまい)」と呼ばれる、収穫から3年以上経ったお米には、確かに独特の「古米臭」や食感の低下という悩みがあります。昨今の米不足もあって、実際に買って炊いて食べてみて感じたことがある方は多いと思います。
※関連記事:備蓄米・古古米は「まずい」の?実態調査から導く「まずい」と言われる理由と原因
ですが、その原因と対処法を知れば、驚くほど美味しく復活させたり、むしろその特性を活かして絶品料理に変えたりできるんです。
今回は、古古米・備蓄米を美味しく食べる方法を、全国のこだわりのお米のみを取扱う通販サイト、そして専門家に取材しお米にまつわるあらゆる情報を独自の視点で発信する、私たち「ソラミドごはん編集部」が解説します。
なぜ古古米・備蓄米は美味しくないの?
まず、なぜ古古米・備蓄米が美味しくないと感じるのか?についてお話しておこうと思います。
原因は大きく3つあり、それがは「古米臭(油臭)」、「パサつき・芯残り」、「甘み・旨味の欠如」です。古古米・備蓄米は新米に比べてこの3つが理由で「美味しくない」「まずい」などと感じてしまうのです。
より詳しくは「古古米・備蓄米がまずいと感じる科学的な理由」で解説していますので合わせておよみください。
古古米・備蓄米の美味しい食べ方【準備編】
最初にお米を研ぐ段階、洗米の際のコツをご紹介します。
古米臭の主な原因は、お米表面にこびりついた「酸化した糠(ぬか)」、つまり脂です。そのため、美味しく食べるために最も重要なのはこのニオイの原因を徹底的に取り除くこと。
まずは下記でご紹介する方法を試してみてください。
三段階で洗米する
古米臭の原因である酸化脂質を効果的に除去するためには、まず水を加える前に、乾いたボウルの中で米同士を強く擦り合わせることが重要です。これで表面の酸化物を物理的に剥離することができます。
次に、冷水ではなくぬるま湯を使って最初の洗米をします。ぬるま湯を使う理由は脂は温度が低い水に溶けにくい性質を持っているためです(油汚れのひどい食器を洗うときに、ぬるま湯やお湯を使うと汚れが落ちやすくなるのはこのためです)。ぬるま湯の方が酸化した脂質を効率的に洗い流すことができますよ。
そして最後に「研ぐ」→「すすぐ」を水が完全に透明になるまで繰り返しましょう。新米ではそこまで強く洗ったり何度も洗米する必要はないのですが、古古米の場合は白濁がなくなるまで徹底的に洗米することが、古米臭を米の内部に再吸収させずに取り除くためのコツです!
十分に浸水させる(最低2時間以上)
次に浸水時間を2時間以上取ることが、古古米・備蓄米を美味しく食べるコツです。
古古米・備蓄米はお米のデンプンが老化して、水が吸いにくい状態になっています。これが炊飯時に「芯残り」や「パサつき」が発生する要因です。
新米の場合は浸水時間の目安は夏場で30分、冬場でも1時間から1時間半程度ですが、水分を吸いにくい古古米の場合は下記表にあるようにさらに浸水させる必要があります。
このように夏場では最低2時間以上、冬場なら3~4時間浸水させることでお込めの内部までしっかり水分を届けることができます。
ただし注意点としては、長時間の浸水(特に夏場に2時間を超える場合)は、雑菌が繁殖するリスクがあるので、冷蔵庫内で行うのがいいでしょう。
※ちなみに浸水させることは古古米・備蓄米でなくても、ごはんを美味しく炊くために重要なコツです。詳しくは「おいしいごはんを炊くコツを知ろう〜日本炊飯協会に教わる炊飯の科学〜」をお読みください。
通常より1割程度水を増やす
最後に水加減の調整(増やす)です。
古古米は新米に比べて米自体の水分量が少ないです。そのため、炊飯時の水加減は通常よりも多めにしておきましょう。目安として、通常の目盛りよりも1割程度(10%)多く水を加えるといいでしょう。
古古米・備蓄米の美味しい食べ方【炊飯前に入れる「調味料」編】
次に調味料です。
調味料といっても炊き上がったご飯にかけるのではなく、炊飯する前にお米の中に入れておくというもの。具体的には下記のような調味料・使い方をするのがおすすめです。
日本酒 (純米酒)を入れて炊く
日本酒は炊き上がりのお米にツヤと甘みを加え、ふっくらとした仕上がりにしてくれます。
使用量の目安は米2合に対し、大さじ1杯程度です。
日本酒(特に米と米麹のみを原料とする純米酒)の糖分が、古古米・備蓄米の失われた「甘み」を直接補う効果があります。また、アルコール成分が水の沸点よりも低い温度で蒸発する過程で、米粒の水分保持を助け、ふっくらとした炊きあがりにしてくれますよ。
昆布を入れて炊く
次に昆布です(お味噌汁の出汁を取ったりするときに使う、食用の乾燥昆布です)。
炊飯時に約5cm角の昆布を入れるのが目安です。
出汁を取るという用途からもわかるとおり、失われた「旨味」を補う効果があるのが昆布です。
古古は旨味が不足しています。昆布には主要な旨味成分である「L-グルタミン酸」が豊富に含まれていますので、上記の量を炊飯時に入れることで、このグルタミン酸が水に溶け出し、米が炊き上がる過程で水分と同時に旨味を吸収します。
水出し(低温でゆっくり抽出)が最も雑味なく旨味を引き出しますので、理想をいえば沸騰直前に取り出すのが望ましいのですが、炊飯器でこれを実現するのは難しいため、炊き上がりまで入れっぱなしでも問題ありません。
みりんを入れて炊く
みりんもおすすめの調味料です。
使用量の目安は米2合に対し大さじ1杯程度です。
みりんは複雑な糖質とアミノ酸(うまみ成分)を含み、これが古古米・備蓄米に不足している「甘み」や「旨味」を補ってくれます。
さらに、みりんに含まれる糖質は炊き上がった米粒の表面にツヤを与える効果もあり、見た目の良さはもちろん、口に頬張ったときに食感をなめらかにしてくれますよ。
植物油(サラダ油など)を加えて炊く
植物油(サラダ油など)もおすすめです。
使用量の目安は米2合に対し小さじ1杯程度です。
油分は米粒の表面を薄い膜で覆ってくれますので、炊飯中にデンプンが過剰に溶け出すのを防ぎ米粒同士がベタつくことなくふっくら炊きあがります。
また、この油膜が光沢を生み出すので、炊き上がったご飯に「ツヤ」を与えてくれます。
備長炭を入れて炊く
最後に備長炭です。炊飯時に入れると美味しくなることは有名ですが、新米だけでなく古古米・備蓄米に対しても有効です。
備長炭や炊飯用の竹炭など食用に安全なものを、炊飯器の釜に入るサイズ(約5cm〜10cm程度)のものを1〜2本を目安に入れて炊きましょう。浸水時から炊飯器の釜の中に入れておくのがおすすめです。
備長炭は不快な古米臭の除去に有効です。備長炭は多孔質(目に見えない無数の孔が空いている構造)で、この特性が吸着剤として機能し、古米臭の原因物質を取ってくれます。
洗米だけでは取りきれない臭いの元を吸い取ることで、間接的に古古米・備蓄米の美味しさをアップさせることができます。
古古米・備蓄米の美味しい食べ方【調理・加工法編】
最後に、古古米・備蓄米の特性を逆手にとってその特性を活かせる「料理」「加工」をするのもおすすめです。
炒飯(チャーハン)にする
最もおすすめの料理は炒飯です。
古古米は、粘りがなく米粒同士がバラバラしやすい特性を持っているため炒飯に最適です。
新米のような水分が多く粘りのあるごはんを使うと、鍋の中で米粒同士が結着して団子状になりやすいですが、古古米のパサパサとした質感と水分の少なさは、ほぐれやすく、油をまとわせて高温で炒めるのに向いています。
炒飯の理想と言われる「パラパラ」とした食感で、プロ級の仕上がりになりやすいですよ!
カレーライスや丼物などの汁気の多い料理
カレーライスや親子丼、牛丼、リゾットといった汁気が多めの料理もおすすめです。
新米を使うと水分を吸いすぎて米粒がおかゆのような食感になってしまうことがありますが、古古米は吸水性に欠け、かつ硬い食感のため、カレーのルウや汁気が多い具、出汁をかけてもお米が水分を吸収しづらいので最後まで食感が変わらず食べられます。
これらの料理がおいしくないときはたいてい、お米がベチャベチャな状態かと思いますが、古古米・備蓄米を使えばカレーのルーや丼物の具材の味を邪魔しない、バランスの良い仕上がりになります。
米粉に加工する
最後に古古米・備蓄米を粉砕して「米粉」にするという方法です。
これは米粒の形状を変えることで、古古米臭、食感や旨味・甘みのなさ、吸水性の悪さなどの欠点をすべて解消することができます。
米粉は、小麦粉よりも油の吸収率が低いので、揚げ物の衣に使うと油切れが良く、軽くてサクッとした食感になります。また、シチューやソースのとろみ付けとしても利用でき、意外に利用範囲は広いですよ。
家庭で米粉を作るには、浸水させてから乾燥させ、フードプロセッサーやミルミキサーを使って作ることができます。かなり手間はかかりますので、あくまでも最終手段としておきましょう。
古古米・備蓄米を美味しく食べる方法はたくさん!
ご紹介してきたように古古米・備蓄米を美味しく食べる方法はたくさんあります。
食べてみて「まずい」「美味しくない」と感じても、洗米して臭いのもとを徹底除去し、日本酒や昆布、みりんなどで風味を補ったりして「修復」する方法もあれば、粘りのなさを活かしてチャーハンやカレーなどに「転用」する方法もあります。
あなたに合った方法を選んで、古古米・備蓄米を美味しく活用しましょう!