お米を長期保存する方法【お米ソムリエ時吉涼子さん監修】最適な保存場所・量・期間まで解説

お米をまとめ買いしたりすると気になる、「保存方法」。
私たち日本人の食卓に欠かせないお米はできるだけ美味しい状態で食べたいものですよね。
そこでこの記事ではお米ソムリエの時吉涼子さんに監修いただき、お米をできるだけ長い間鮮度を保って保存できる方法をまとめました。
ぜひ参考にしてみてください。
この記事の監修者
時吉涼子さん
お米ソムリエ。株式会社鶴秀(かくしゅう)取締役。
岡山県で介護福祉士として働いたのち、結婚を機にご主人とともに、鹿児島県の米農家である時吉さんのご実家を継ぐことに。お米が好きで、お米についてのたくさんの知識を身につけたいという思いから、勉強をしてお米ソムリエの資格を取得。お米ソムリエ以外にも、「米粉マイスターインストラクター」「食育インストラクター」「発酵食品ソムリエ」などの資格を持つ。趣味は音楽鑑賞、手芸、旅行など。
お米を長期保存する方法・5つのポイント
お米を長期保存するには下記 5つのポイントを守りましょう。
- 冷暗所(温度:15℃以下)で保存する
- 湿度を55%~75%に保つ
- できるだけ酸素に触れさせず密閉保存する
- 虫の発生を防ぐ
- なるべく玄米の状態で保存する
ではそれぞれ なぜ重要なのか、どう対策すればいいのか等を詳しくご紹介していきます。
1. 冷暗所(温度:15℃以下)で保存する
お米の保存場所は冷暗所が理想的です。
温度は15℃以下を保つのが理想です。高温では酸化が進みやすく、風味や食感が損なわれてしまいます。
また、直射日光などの強い光はお米の品質を劣化させる原因となります。直射日光を当てると栄養成分が分解されやすくなり、乾燥も招くため米粒にヒビが入ることがあります。
また、18℃を超えると害虫が活発になり、25℃を超えるとお米自体が匂いを発して害虫を誘引しやすくなるため、害虫を防ぐという意味でも涼しい場所で保管することが望ましいです。
そのため、温度を低く保ち、光を遮断できる冷暗所で保存することで、お米の品質を長期間維持できます。
2. 湿度を55%~75%に保つ
次に湿度です。お米の保存に理想的な湿度は55%~75%程度と言われています。
湿気が高いとカビが発生しやすくなり、お米が湿気を吸い込み風味が落ちる原因にもなります。逆に湿度が低すぎてもだめで、お米が割れたり風味が落ちたりしてしまいます。
日本は高温多湿の気候なので、特に湿度が高くなることには注意が必要です。よくあるキッチンシンクの下のような水気が多い場所での保管は避け、米びつなどの保存容器に入れて保存しましょう。
また、お米を量る際にも計量カップや自分の手が濡れていないかにも気をつけ、保管中のお米に水が付着しないようにましょう。
3. できるだけ酸素に触れさせず密閉保存する
他の食品と同様に、お米の場合も酸素に触れることで品質の劣化が進んでしまいます。
白米の場合は、酸素に触れることでお米表面のぬか層の分解が促進してしまうことがわかっています。一方で、玄米の状態で保存すると、お米の表面が酸素に触れにくくなるため酸化の防止になることもわかっています。
他にも酸素を遮断することで米に混入した虫や卵が死滅したり、カビの発生を抑えられたりと、酸素に触れさせず密閉保存することはお米の品質維持に効果的だといえます。

お米は匂いが移りやすいので、匂い移りを防ぐという意味でもしっかり密閉をするのが美味しさを保つ秘訣です。
酸素をしっかりと抜いて密閉保存できる、チャック付きフリーザーバッグに入れて保存するのがおすすめ。
4. 虫の発生を防ぐ
虫の発生を防ぐ工夫も必要です。お米に発生しやすい虫としてはコクゾウムシやノシメマダラメイガなどがあります。お米に卵を産み付けるのでアレルギー症状を引き起こすおそれがあるのはもちろん、お米そのものを食害するため、十分に気をつけたい存在です。
購入後すぐに密閉容器に移し替えたり、定期的な容器の清掃をすることで清潔に保つことで対策をしましょう。
また、お米用の防虫剤を使用したり、唐辛子やニンニクなどを入れておくことでの対策も可能です。
5. なるべく玄米の状態で保存する
精米せずに、玄米の状態で保存することも、お米を長く保存するときにおすすめの方法です。精米されたお米(白米)は胚芽や糠層を取り除いてあるので酸化しやすいですが、玄米はこれらの部分が残っているためお米そのものが酸素に触れることがなく、長期保存に適しています。
また、前述した害虫(コクゾウムシやノシメマダラメイガ)は白米が持つ栄養素を好むため、お米そのものまで害虫が侵入しにくい玄米の状態で保存するのは害虫対策としても効果的です。
玄米は白米に比べてビタミン、ミネラル、食物繊維などの栄養素が豊富で、長期保存してもこれらの栄養価が比較的維持されやすいというのもポイントです。

昔は籾(もみ)がついた状態で直射日光を避けて涼しいところで保存する、というが一番美味しく保存できる方法といわれていました。それは本当か、以前私が実験をしてみたところ、玄米の状態で、お米の保冷庫で保存するのが一番美味しさをキープできた保存方法でした。
一人暮らしの人におすすめ!お米を長期保存する具体的な方法
ここまでご紹介したポイントを踏まえて、ワンルームなどで一人暮らしをしている方におすすめのお米の長期保存方法をご紹介します。
それは、白米の状態で、密閉できるチャック付きフリーザーバッグやプラスチック容器、ペットボトル等に少量入れて冷蔵庫に保管する方法です。
一人暮らしでは収納スペースなどの問題や、一度に炊いたり食べる量も少なくて済むことから、お米を大量に保管することもあまりないことを踏まえると、最も手軽で簡単な上記の方法がおすすめです。
家族で暮らす人におすすめ!お米を長期保存する具体的な方法
家族で暮らしている方は、玄米の状態で容量の大きい米びつに密閉保存するのが最もおすすめです。
一人暮らしの方に比べてある程度は収納場所に余裕があることを考えると、容量の大きい米びつを使うことができます。
大量に長期間保存する場合は、より長期保存に向く玄米の状態で保存し、1週間分ほどの量をこまめに精米することで、より美味しくより新鮮な状態をキープできるでしょう。
保管場所はシンク下などの湿気が多い場所を避け、床下などの温度・湿度が低い冷暗所に保存しましょう。
お米を長期で保存したいときに知っておきたい知識
最後に、ここまで紹介しきれなかったお米を長期保存する上で重要な知識をご紹介します。
保存期間は長くても1ヶ月程度
美味しさを保つことができるお米の保存期間は、長くても約1ヶ月程度と考えましょう。
それ以上保存しておくと、古米臭と呼ばれる特有の臭いが発生し食味が大きく低下したり、パサついたり、粘り気がなくなったり、害虫が発生しやすくなったりします。
特に夏季は劣化が早いため、2週間程度を目安にするといいでしょう。
農薬や化学肥料に頼らずつくられたお米ほど、保存方法に気をつけよう
農薬や化学肥料などに頼らない、あるいは使用する量をできるだけ少なくして作られたお米は、その分、害虫やカビも発生しやすくなります。お米は生鮮食品であることをしっかりと理解し、今回ご紹介したポイントを参考に適切に保存しましょう。
長期で保存するお米こそ「安心・安全」にこだわろう!
以上、お米を長期保存する方法をご紹介してきました。 長期保存のポイントや注意点を踏まえて、ご自分の環境に合った保存方法を検討してみてください。
また、長期保存するお米だからこそ、安心・安全なお米を選ぶことも大切です。
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とくにおすすめの保存場所は、冷蔵庫の野菜室です。低い温度を保ち、光も当たることがなく、乾燥を抑え、水分をキープしながら保存できます。