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外で食べるごはんはなぜおいしいの?おいしさの正体を聞いてみた

    公園や広場のベンチで食べるおにぎり。

    特別な料理ではないのに、なぜか「いつもよりおいしい」と感じたことはありませんか?

    その理由は、味だけでは説明できないようです。外の景色や光、そしてこれまでの食経験が私たちの「おいしい」に関わっているといいます。

    今回は、日本大学生物資源科学部食品ビジネス学科の谷米先生に、外で食べるごはんがおいしく感じられる理由を教えていただきました。

    これを読めば、ついついピクニックをしたくなるかもしれません。

    お話を聞かせてくれた人

    谷米温子(たにごめあつこ)先生

    日本大学生物資源科学部食品ビジネス学科准教授。管理栄養士。博士(学術)。日本フードコーディネーター協会理事。

    「食で人を幸せにしたい」という学科のモットーのもと、フードコーディネート研究室を主宰し、食の開発・演出・運営のクリエーターを目指す学生を育成している。

    さまざまな食の課題に向き合い、地産地消のレシピ開発や食イベントの企画・実施などを通して、学生のアイデアを社会に役立てる取り組みを発信。

    また、1年間フランスに滞在して研究した経験を踏まえ、世界から評価される日本の食育や学校給食について研究を進めている。

    主な著書に『人を幸せにする 食品ビジネス学入門』(旺文社)などがある。

    聞き手: ソラミドごはんくん

    ごはんが大好き!
    ちょっぴりヒツジに似たごはんの妖精。好奇心旺盛で、ごはんのことなら何でも知りたい!聞きたい!見てみたい!と思っている。

    そもそも「おいしい」ってどんな要素で決まるの?

    ごはんくん

    外で食べるごはんは、室内で食べるときより特別おいしい気がするんです。それって何か理由があるんでしょうか?

    谷米先生

    まず「おいしい」は、人によって感じ方が違います。
    人が「おいしい」と感じるのは、いくつかの要素が合わさっているからです。

    ひとつは、見た目や香り、味、食感、音など、五感で感じるおいしさ。

    それに加えて、お腹が空いているかどうかといった身体の状態で感じる生理的なおいしさもあります。

    ごはんくん

    たしかに、お腹がぺこぺこだとなんでもおいしく感じますもんね。

    谷米先生

    そしてもうひとつが、脳で感じる心理的なおいしさです。

    この心理的なおいしさには、これまでの食経験や、産地や価格帯、添加物の有無といった情報、そして食べている環境などが含まれます。

    外で食べるごはん、特にお弁当がおいしいと感じるのは、どちらかというと、脳で感じる「経験」や「環境」から来ているおいしさが大きいと思います。

    ごはんくん

    脳で感じるおいしさ、というと……?

    谷米先生

    味は五感の中の味覚で感じていますが、実験的には、味覚がおいしさに寄与する割合は5%ほどだと言われています。

    ごはんくん

    えっ、5%だけなんですか!
    味がいちばん大事だと思っていました……!

    谷米先生

    一方で、視覚──周りの環境も含めた見える情報が占める割合は、85〜90%ほどとする結果もあります。

    いつも決まった場所で食べるのと、外に出て視覚的な刺激を受けながら食べるのとでは、味そのものだけでなく、満たされる部分が変わってきます。

    だから「おいしい」と感じやすくなるんですね。

    ごはんくん

    じゃあ、あの「なんとなくおいしい」は、気のせいじゃなかったんですね!

    外という環境がおいしさを変える?

    ごはんくん

    たしかに、食をおいしくさせる要素って、外のほうが多い気がしますね。

    谷米先生

    そうですね。ただ、「外で食べる=必ずおいしい」というわけではありません。

    たとえば、とても寒い場所で冷たいお弁当を食べたら、あまりおいしいとは感じないかもしれませんよね。

    逆に、寒い日に外で温かいカップラーメンを食べたら、とてもおいしく感じることもあります。

    その場の温度や気候といった環境も、脳が「おいしい」と判断する材料のひとつなんです。

    ごはんくん

    寒い日に外で飲むあたたかいスープってそれだけでごちそうに感じますよね。

    谷米先生

    また、日本では、お花見や運動会、ピクニックなど、外で食べる文化が昔からあります。

    江戸時代には、庶民が桜の下でお弁当を楽しんでいたという記録もあるんですよ。

    ごはんくん

    昔の人も桜の下でごはんを囲んでいたんですね。なんだか、その光景を想像するとほっこりします。

    「花見」 川原慶賀工房 (1809-1829年頃)/出展:© パブリックドメインC フリー画像美術館
    谷米先生

    こうした楽しい経験が積み重なることで、外で食べるごはんはおいしい、というイメージが育っていく面もあると思います。

    ごはんくん

    なるほど! 外そのものが特別なのではなくて、これまでの思い出や、その日の環境が重なって「おいしい」になるんですね。

    谷米先生

    そうですね。ただ、最近は少し状況が変わってきているかもしれません。

    コロナ禍の影響で運動会やお花見といった行事が縮小されたり、外でみんなで食べる機会が減ったりしました。

    もし外で食べる経験が減っていけば、「外で食べるとおいしい」という感覚も、これから少しずつ変わっていく可能性があります。

    おいしさは味そのものだけでなく、文化や経験と強く結びついているんです。

    ごはんくん

    味だけじゃなくて、「どこでだれとどう食べたか」まで含めておいしさなんですね。

    「構えなくていい」外ごはん

    ごはんくん

    外でおいしく食べるコツって、何かあるんでしょうか? やっぱりお弁当をしっかり準備したほうがいいですか?

    谷米先生

    日本では「お弁当=きちんと準備するもの」という感覚が強いですよね。
    でも、外に出るだけで環境は変わります。それだけで、おいしさのスパイスになるんです。

    必ずしも、立派なお弁当である必要はありません。
    おにぎり一つでもいい。外の空気の中で食べるという経験そのものが、味わいを変えてくれます。

    実際、フランスではバゲットにハムとチーズを挟んで、リンゴを一つ持って外で食べる。それだけで十分、という感覚があります。

    外で食べること自体を楽しんでいるんですね。

    ごはんくん

    おにぎり一つでもいいんですね!
    それなら、もっと気軽に外に出てみたくなります。

    ごはんくん、外で食べてみる

    ごはんくん

    谷米先生のお話を聞いていたら、なんだか外で食べてみたくなっちゃった!

    というわけで、休日に広場のベンチでお店で買った鮭おにぎりを食べてみました。

    ごはんくん

    特別な具材ではなく、どこにでもある基本のおにぎりです。

    それでも、外の明るい光の下でかじると、鮭の塩気やごはんの甘みが、いつもよりはっきりと感じられた気がしました。

    味そのものが変わったわけではないはずなのに、不思議です。

    風が吹き、周りの話し声が聞こえ、目の前には広がる景色がある。

    谷米先生がお話ししてくださった「環境や経験もおいしさに関わっている」という言葉が、すっと腑に落ちたように感じました。

    外で食べるごはんは、「なんとなくおいしい」のではなく、ちゃんと理由があったのですね。

    次のお昼は、また外に出てみたくなりました!

    おにぎりやお弁当におすすめのお米

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