いつものたまごかけごはんをおいしくする、白米のコツ ― たまごかけごはん研究所に聞いてみた

炊きたてのごはんに生卵を落として、醤油をひとたらし。
それだけで成立するのがたまごかけごはんの魅力です。
卵にこだわるけれど、ふと振り返ってみると白米はいつも同じという人も多いのではないでしょうか。
今回は卵が一番よろこぶ白米をテーマに、日本たまごかけごはん研究所の代表理事・上野さんにお話を伺いました。
卵の個性を引き立てる白米とは、どんなお米なのか。 いつものたまごかけごはんが少しだけ特別になるヒントを探ります。
お話を伺った人
上野 貴史(うえの たかふみ)さん
2018年6月 株式会社 八紘 設立
2019年4月 一般社団法人 日本たまごかけごはん研究所 設立
調理技能士/給食用特殊専門調理師/食育指導員/ 五ツ星タマリエ/ 卵重計量責任者
【50年後に地球上どこでもたまごかけごはんが食べられる世界を創る】
《主な活動》
⚫︎生産者支援の全国ブランドたまごバイキング「幻の卵屋さん」運営及びフランチャイザー
⚫︎世界最大級のたまごかけごはんイベント「卵フェス」主催
⚫︎飲食店とのたまごかけごはん食べ比べコンテンツのフランチャイザー
⚫︎メーカーとのコラボ商品開発
日本たまごかけごはん研究所ホームページ:
https://www.japan-tkg.jp/

卵かけごはんは、なぜこんなにも奥が深いのか

たまごかけごはんは、卵・白米・醤油という、とてもシンプルな組み合わせでできています。だからこそ、どこで味の違いが生まれているのかを、あまり意識せずに食べているという人も多いのではないでしょうか。
その理由のひとつが、卵そのものの個性にあります。
私たちは普段、卵を同じ種類でまとめて買うことがほとんど。 生の状態で、複数の卵を同時に食べ比べる機会は、実はあまりありません。
卵って、同時に食べ比べるシーンがほとんどないんですよね。おいしい卵を食べた記憶はあっても、「何が違うのか」まで説明できる人は少ないと思います。
日本たまごかけごはん研究所では、卵を1個ずつバラで販売し、食べ比べる体験を大切にしています。その取り組みのひとつが、主催するポップアップストア「幻の卵屋さん」です。
全国各地で開催されているこのポップアップでは、日替わりで入れ替わる10数種類の卵の中から自分の好みに合わせて6個を選べるパックを販売。産地や育て方の異なる卵を、自分の手でセレクトできるのが特徴です。
こうして実際に食べ比べてみることで、旨味の強さや香り、味わいの違いが少しずつ輪郭を持って見えてくるのだそうです。

卵にこれだけの違いがあると、白米の選び方にも少し目を向けたくなります。
旨味の強い卵の場合、白米の味が弱いと卵に負けてしまうんです。 だから、卵に合わせてお米を選ぶ、という考え方もひとつの答えかもしれません。
卵の個性を引き立てる白米の選び方と炊き方

では、卵の魅力を引き出すためにはどんな白米を選び、どう炊けばよいのでしょうか。
上野さんがおすすめするのは、粒がしっかりしていて粘りが控えめなお米。
迷ったら、まずはササニシキですね。 お寿司のシャリに使われるようなタイプのお米は、卵の味を邪魔しにくいんです。
一方、旨味の強い卵には、白米にもある程度の存在感が必要です。 にこまるや里山のつぶのように、甘みと旨味のバランスがよいお米は、卵の濃さをしっかり受け止めてくれます。
そして、品種以上に大切なのが炊き方。
たまごかけごはんの場合は、やや硬めに炊くのがポイントです。
卵白や醤油の水分を吸っても、ちゃんとお米が“居てくれる”硬さが大事です。
水加減の目安は、お米10に対して水9〜9.5ほど。やや硬めに炊くことで、粒の輪郭が残り、料理としての満足感が高まります。
白米を選び、炊き方を整える。
それだけで、たまごかけごはんは卵の個性がよりはっきりと伝わる一杯になります。
たまごかけごはんの黄金比

卵の個性を感じるためには、まず土台となるバランスを整えることが大切だといいます。たまごかけごはん研究所が考える、たまごかけごはんの黄金比は次の通り。
・ ごはん:150g
・ 卵:Mサイズ(約60g)1個
・ 醤油:7g前後
この比率にすることで、卵のコクと白米の甘み、そして醤油の塩味が偏ることなく感じられます。
黄金比は、ただおいしいだけじゃなくて、違いを感じるためのバランスでもあります。
卵かけごはんは、卵だけが主役の料理ではありません。 卵・白米・醤油、それぞれが同じくらいの立ち位置で並ぶことで、味に奥行きが生まれます。
教わったレシピでたまごかけごはんをつくってみた

今回は、実際に「幻の卵屋さん」で卵を選び、教えてもらった黄金比でたまごかけごはんをつくってみました。
ポップアップストアでは、用意された卵の容器を手にカゴに並ぶ卵をひとつずつ見ていきます。
それぞれの卵には産地や育て方、味わいの特徴が添えられていて、「今日はどんな卵を食べたいか」を考えながら選ぶ時間そのものがすでに食べ比べの入口になっているようでした。
卵と一緒についてくるメモカードも印象的です。

どの場所にどの卵を入れたのかを書き留めておけるので、あとから食べるときに迷わず、この卵はどんな味だったかを振り返ることができます。
今回、たまごかけごはんに使ったのは栃木県産の「那須御養卵」。店頭には店長おすすめのポップが貼られていて、独特の甘みとねばりのある白身が特徴だと紹介されていました。

そうして選んできた卵と、研究所の醤油、そして少し硬めに炊いたごはんを用意。

ごはん150g、卵1個、醤油7g前後。分量をはかりながらつくるたまごかけごはんは、いつもより一手間かけている感覚があります。

ひと口食べてみると、卵のコクと白米の甘み、醤油の塩味。どれかひとつだけが主張することなく、きれいに重なり合いました。こんなにたまごかけごはんをおいしいと感じたのは初めてです。
これまで、たまごかけごはんは空腹を満たすためになんとなく食べていた存在でした。
けれど、卵を選び、白米を整え、バランスを意識して向き合ってみると、自然と立ち止まって味わいたくなる一杯になります。
その中で、あらためて印象に残ったのが、白米の存在でした。

卵の違いを受け止め、味の輪郭をそっと支えているのは、しっかりと粒の立った、炊きたてのごはん。白米の状態が整っているからこそ、卵の香りや甘み、コクの違いが、よりはっきりと立ち上がってきます。
主役になりすぎず、けれど確かに中心にいる。そんな役割を、白米が担っているように感じました。
卵を選ぶように、白米にも目を向ける。
その視点が加わるだけで、たまごかけごはんは、日常の一杯から、ぐっと奥行きのある料理へと変わっていくのだと思います。
おいしいお米でたまごかけごはんを楽しもう!相性バッチリなお米はこちらから購入いただけます
おすすめの記事はこちら
旨味が強い卵もあれば、自然派でバランスの取れた卵もあります。香りも全然違って、ゆずの香りがする卵や、白身にカニのような風味を感じる卵もあるんですよ。