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のぞき見お昼ごはん│「おむすびは、私たちを素に戻してくれる存在」ハスつかさん

    「ごはん」に関わる活動をされている方の普段のお昼ごはんにお邪魔しながら、その人のパーソナルな部分をのぞき見る連載企画「のぞき見お昼ごはん」。

    今回は、「1000日連続でおむすびを食べる」という前代未聞のチャレンジを達成したハスつかさんにお話を伺いました。ハスつかさんは日本全国のおむすびを食べ歩いており、そのレポートをnoteに書き綴る活動をされています。

    おむすびと共に過ごした1000日間で、ハスつかさんは何を感じ、何を学んだのでしょうか? その答えは、きっと私たちのおむすびに対する価値観をも揺さぶり、おにぎりに対する愛情を深めてくれるはずです。

    ハスつかさんと一緒におむすびをほおばりながら、チャレンジの裏側についてたっぷりとお話を伺いました。

    ハスつか さん

    日本一のおむすびマニア。普段は地域創生プロデューサーとして、地域や企業のファンづくりやファンベース推進の伴走事業を行う。個人の活動として、1000日連続でおむすびを食べて、毎日世の中に発信する企画に挑戦。「1000日間で1000のおむすびを食す男」と題し、2019年7月13日から2022年4月7日までの間、毎日おむすびを食べ続けた記録をnoteに綴り話題に。1000日達成の後も、noteでの発信は毎日続け、現在では2000日を越えている。
    note: https://note.com/tukamatter

    ハスつかさんの「お昼ごはん」はどんなごはん?

    今回一緒にいただいたのは、ハスつかさんおすすめの「新宿秀吉」さんのおむすび。都営新宿線・曙橋駅が最寄りのソラミドごはん編集部のオフィスからもほど近い、お米屋さんが営むおむすび屋さんです。

    おむすびは長野県・安曇野産のコシヒカリを使用。梅やツナマヨなど定番の具材から、豚キムチや小梅バジルなど珍しいメニューまで、バラエティ豊かな種類が揃っています。

    ──何種類かおむすびを用意したので、お好きなものを選んでください!

    ハスつかさん

    ありがとうございます。じゃあ、鮭をいただきます。

    ──鮭のおむすびがお好きなんですか?

    ハスつかさん

    実は、2000日以上おむすびの食リポートを続ける中である法則を見つけました。それは、鮭のおむすびを食べると、そのお店のおむすびへの手の掛け方が分かるです。

    ひとくちに鮭おむすびといっても、鮭フレークだったり、焼き鮭だったり。店によって個性が出やすいんですよ。焼き鮭の場合は切り身がそのままゴロッと入っていたり、身をきれいにほぐしてあったりと、具材の形にも個性が現れます。

    鮭に手間をかけてこだわっているお店は、他のおむすびにもこだわっていることが多いです。

    ──なるほど。鮭のおむすびには、そのお店のこだわりが現れるのですね。
    これまでに色々なおむすびを召し上がっていると思いますが、特にお好きな具はありますか?

    ハスつかさん

    う〜ん、難しい質問ですね!(笑)

    実は、これまでに食べてきたおむすびのレポートを読み返して、よく選ぶ具は何か調べたことがあるんですよ。

    お店のラインナップの中から名物や珍しい物を選ぶことが多いですが、統計では明太子が多かったです。なので、
    無意識のうちに明太子を選んでいるのかもしれません。あとは、焼きおにぎりもよく食べます。

    ──ご自身がよく食べているおむすびの具を、データで知るというのが面白いですね!

    おむすび屋さんはどうやって選ぶ?

    ──普段はどのような基準でお店を選んでいるのでしょうか?

    ハスつかさん

    出かけるときは、まずその地域におむすびを売っているお店があるかネットで調べます。

    でも、おむすび屋さんの情報は、ネット上ではなかなか見つけにくいです。個人でやられているお店も多く、ホームページ自体が無いことも多くて。もしあっても、情報が古いこともあります。ぶらぶら歩いて、偶然見つけることも結構多いですね。

    ──ご自身で街を歩きながらお店を見つけていらっしゃるのですね。全国各地のおむすびを食べ歩いていらっしゃいますが、おむすびを旅の目的にすることもあるのでしょうか?

    ハスつかさん

    旅行のときに、せっかくここまで来たならあのおむすびを食べに行こう!と足を伸ばすことはありますね。

    先日も岩手県を訪れたのですが、ウニおむすびを目当てに北三陸の久慈駅まで足を伸ばしてみました。お店に残っていたラスト1個を無事にゲットできたのでよかったです。

    久慈駅のウニおむすび

    ──それはラッキーでしたね。おむすび探しの旅って、面白いですね!

    ハスつかさん

    これからは、おむすび探しの旅が流行るんじゃないでしょうか。最近はおむすびの専門店が増えてきてちょっとしたブームになっていますし……。

    例えば、ラーメンの名店を目当てに遠方へ出かけることってありますよね。そのラーメンが、おむすびに変わる時代がやってきてもおかしくないと思います。

    ──それは楽しそうです。おむすびの時代がやってきたら嬉しいですね。

    「おむすび1000日チャレンジ」を始めた理由と成功の秘訣とは

    おむすびを頬張るハスつかさん

    ──ハスつかさんのnote、楽しく拝見しました。 一番古い記事まで遡って読んだら、最初の記事が『おむすびを1000日連続で食べるチャレンジを始める』という宣言だったのが印象的です。そもそも、1000日チャレンジを始めようと思ったきっかけは何だったのですか?

    ハスつかさん

    当時入っていたコミュニティの仲間を中心に、みんなで何か『1000日チャレンジ』をしようという話が持ち上がったんです。100人以上が同時に挑戦を開始しました。英会話を勉強したり、色々な種類のパンを食べたり。それぞれが自分で挑戦する企画を考えたんです。

    僕も何か面白いチャレンジをしたいなと考えていた時に、ふとおむすびが頭に浮かびました。

    当時、仕事が忙しくて、お昼ご飯はコンビニで買ったカップ麺とおむすびで簡単に済ませる日が続いていました。でも、心のどこかで「世の中にはもっと美味しいおむすびがあるんだろうな」という思いがあったんです。

    それなら、この機会に色々なおむすびを食べまくって、その魅力を発信してみよう! と思い、チャレンジを決めました。

    ──100人以上が参加する大規模なチャレンジだったのですね、すごい! 最終的に、どれくらいの人が1000日達成できたのですか? 

    ハスつかさん

    1000日達成できたのは、10人もいなかったと思います

    ──100人以上が挑戦して、10分の1以下しか達成できなかったのですね。ハスつかさんはそんな大変なチャレンジを達成されましたが、何かをコツコツ続けるのは得意なタイプなんですか?

    ハスつかさん

    それが、そういう性格じゃないですよ。どちらかというと効率優先で、無駄なことはしたくない。もちろん日記は3日坊主。夏休みの宿題は8月31日を超えてからやるタイプです。

    だから、あえて一番苦手なことに挑戦してみようという思いもありました。

    ──夏休みが終わってから宿題を始めるんですね!(笑)それは意外でした。それでも、1000日という長期間おむすびチャレンジを続けられたのは、何か秘訣があったのでしょうか?

    ハスつかさん

    楽しいことを見つけたりするのが得意なのかもしれません。あと、チャレンジが途中で辛くならないように、工夫したのがよかったのかもしれないです。

    ──チャレンジを続けるにあたって、どのような工夫をされたのでしょうか?

    ハスつかさん

    一番は、いかにして自分自身を飽きさせないか、ということを意識していました。

    おむすびを紹介する際の基本スタイルは確立しつつも、旅の紀行文のような形式で紹介したり、複数のおむすびをテーマごとにまとめて記事にしたり。様々なバリエーションを取り入れながらチャレンジしました。

    そうすることで、常に新鮮な気持ちで取り組むことができ、ネタ切れやマンネリ化を防ぐことができたんです。

    ──1000日という長い期間、飽きないよう工夫を凝らすことは本当に大切ですよね。他にも何かおむすびチャレンジを成功させる原動力はあったのでしょうか?

    ハスつかさん

    noteの記事を読んでくださる方々の存在が、何よりの励みでした。記事を書き続けるうちに反応が増えて、応援してくれる人も増えていって。読んでくださる方がいると思うと、1000日チャレンジを宣言した手前、「もうやめられないぞ」と気が引き締まりました。

    読者のみなさんは、SNSで私の記事の拡散をしてくださったり、メディア出演時応援コメントをたくさんくださったりと、いつも温かい声援を送っていただきました。本当に感謝の気持ちでいっぱいです。

    読者の皆さんの応援がおむすびチャレンジを続ける上での大きな支えとなり、「期待に応えたい」「頑張り続けよう」という思いが常にありました。

    ──読者の声のおかげで挑戦を続けることができたんですね。今回のチャレンジを通して、おむすびの魅力の再発見以外にも何か得られたことがあれば、ぜひ教えていただきたいです。

    ハスつかさん

    おむすびに特化して細部まで探求し、その過程を発信することで、専門性を高めることができました。その結果、自分自身の言葉に自信もついてきたです。

    仕事以外で得意分野の肩書きが増えたことも、うれしいですね。趣味の延長線上で自分の好きなことが認められる経験は、なかなかできないと思います。

    ──ハスつかさんのチャレンジは、まさに『継続は力なり』を証明していますね。

    ハスつかさんの思うおむすびの魅力とは

    ──これほどたくさんのおむすびを召し上がっているハスつかさんですが、チャレンジを始める前からおむすびがお好きだったのでしょうか?

    ハスつかさん

    子供の頃からおむすびがずっと好きでした。親が共働きで家に居ない時間も多かったので、たまに田舎から祖母が面倒を見にきてくれたです。そのときに握ってくれたおむすびの味は、やっぱり忘れられないですね。

    ──おばあちゃんの作るおにぎりって、温かくていいですよね。おむすびには様々な魅力が詰まっていると思いますが、特に魅力を感じるのはどのような点でしょうか?

    ハスつかさん

    おむすびは、日本の食文化の中心を担う存在だと感じています。 古くから親しまれてきたおむすびは、日本に住む人のアイデンティティと深く結びついているのではないでしょうか。

    おむすびの魅力を海外の人々に伝えることは、 日本という国そのものを知ってもらうことにも繋がります。 それは、日本の歴史や文化を伝えることにもなり、 国際交流にも貢献できるかもしれません。

    そう考えると、 おむすびを紹介することには、大きな意義があると感じています。

    ──確かに、おむすびは日本の食文化を代表する味のひとつです。

    ハスつかさん

    それに、おむすびが嫌いな人って、ほとんどいませんよね。

    誰もが親しみやすい食べ物であり、それぞれに思い出がある。運動会の時に食べたおむすび、受験勉強の時に夜食で食べたおむすび……。人生の様々なシーンに、おむすびは登場します。

    こんなにも多くの人の心に深く根付いた食べ物は、他に無いじゃないでしょうか。

    おむすびは、日本に住む人の食生活だけでなく、文化や歴史にも深く関わっている、特別な存在と言えると思います。

    ──おむすびは、多くの日本人にとってなじみ深い食べ物ですよね。

    ハスつかさん

    おむすびを口にするとほっと心が温まるような懐かしい気持ちになるのは、いつもの味、慣れ親しんだ味だからでしょう。おむすびは私たちを素に戻してくれる、そんな存在です。

    ──おむすびを頬張ると、なんだか心がほっこり温まりますよね。

    ハスつかさんが次に挑戦したいこととは

    ──おむすび1000日チャレンジに成功されましたが、これから挑戦したいことはありますか?

    ハスつかさん

    まだ構想段階ですが、コミュニティとおむすびを掛け合わせて何か面白いことをやりたいと考えています。おむすびを中心に置いて、色々な人同士が繋がれるような場を作りたいです。

    ──ハスつかさんが作るおむすびコミュニティ、とっても面白そうです!

    ハスつかさん

    これからはコミュニティの時代がやって来ると感じています。そして、そこには様々な可能性が広がっていると思っています。おむすびを通して、人々が集い、繋がり、新しい何かが生まれるような、そんな場をみんなで作れたら素敵だなと思っています。

    ──おむすびで繋がるコミュニティ、とても素敵ですね。私もぜひ参加したいです! 

    編集後記

    ハスつかさんが1000日もの間おむすびと共に歩んできた道のりは、決して平坦ではなかったはず。それでも挑戦を続けられたのは、おむすびへの深い愛情と、それを支える人々の温かい応援があったからこそだと感じます。

    インタビュー中に印象的だったのは、おむすびについて笑顔で生き生きと語る姿。お話を伺い、好きなことに情熱を注ぎ、発信し続けることで新たな世界が拓けることを学びました。

    ハスつかさんの人柄と情熱に触れ、おむすびへの愛情がより一層深まりました。私も自分の好きなことや得意なことを大切にし、追求し続けたいです。

    取材・執筆

    蒲田おにぎりちゃん
    https://x.com/onigirikamata
    https://www.instagram.com/onigirikamata/

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