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削られる部分に大きな可能性!「米ぬか」が教えてくれる、お米の価値とは?

    真っ白なごはんの精米過程で、いつも削り落とされている「米ぬか」。 

    ぬか漬けや肥料といった昔ながらのイメージが強い一方で、このさらさらとした粉の中にどれほど膨大な価値が眠っているのかを知る人は、意外にも多くありません。ですが、お米全体の栄養の約95%が集中しているといわれる米ぬかは、私たちの健康や美容、そして地球環境をも支える資源なのです。

    今回は、米ぬかをこめ油や最先端の原料へと生まれ変わらせる研究を続けてきた築野グループ株式会社さんに、米ぬかに秘められた驚きの可能性を教えていただきました!

    取締役の築野靖子さん、広報の嶋田歩果さん、研究開発本部・企画開発部3部部長の中村紀夫さん、そして研究開発本部のみなさん、よろしくお願いします!

    お話を聞かせてくれた人

    築野グループ株式会社

    和歌山県に本社を置く築野グループ株式会社は、1947年創業。米ぬかの高度有効利用を軸に、こめ油の製造をはじめ、生理活性成分の抽出や工業用油脂の開発などを展開している。「環境にやさしい製品が人々の健康と美につながる」という理念のもと、米ぬかを食品・医療・化粧品など幅広い分野に応用し、資源価値を最大限に活かしながら持続可能な社会への貢献をめざしている。

    https://www.tsuno.co.jp

    聞き手: ソラミドごはんくん

    ごはんが大好き!
    ちょっぴりヒツジに似たごはんの妖精。好奇心旺盛で、ごはんのことなら何でも知りたい!聞きたい!見てみたい!と思っている。

    米ぬかって、どんなもの?

    ごはんくん

    そもそもなんですが、米ぬかってどんなものなのでしょうか?正直、ぬか漬けくらいしか思い浮かびません…。

    研究開発本部・中村紀夫さん

    米ぬかは、玄米を精米するときに削られる外皮や胚芽のことを指します。白米の外側にあり、お米を包み込んでいる部分です。

    外皮には、紫外線や外部環境からお米を守る働きがあり、抗菌作用を持つ成分も含まれていて、いわばお米を守る“防御の層”。一方で、胚芽は新たに芽となる部分でそのための栄養を蓄えています。

    つまり米ぬかは、“守る”と“育てる”という、お米にとって大切な役割を担っている部分なんです。

    ごはんくん

    なるほど……。米ぬかってお米にとって大事な部分なんですね。

    研究開発本部・中村紀夫さん

    白米は私たちが主食として食べるエネルギー源ですが、米ぬかはその白米を守り、次の成長につなげるための成分が集まっています。お米の栄養成分の95%が米ぬかに含まれていると言われるほどなんですよ。

    ごはんくん

    そんなに大切な部分とは!実際に、米ぬかってどれくらい取れるものなんですか?

    広報・嶋田歩果さん

    2024年のデータでは、日本で生産されるお米が約670万トンであるのに対し、米ぬかは約54万トン。量としてはそれほど多くありませんが、そのうち約7割はこめ油を搾るために使われています。ただ、ほかにも非常に多くの可能性を持っているんです。

    米ぬかは栄養の宝庫!

    ごはんくん

    多くの可能性とは、いったいどんなものなのでしょうか?気になります!

    研究開発本部・中村紀夫さん

    米ぬかには、ミネラル、ビタミン、食物繊維、タンパク質、ポリフェノールなど、さまざまな栄養素が含まれています。

    特に注目される成分の一つが「イノシトール」。以前はビタミンB群の一種と考えられていた成分で、現在ではビタミンに似た働きを持つ「ビタミン様物質」として知られています。母乳、特に初乳に多く含まれていることから、赤ちゃんの成長に関わる重要な成分です。

    また、ポリフェノールの一種である「オリザノール」という成分も含まれていて、血中脂質を改善する効能を持つといわれています。

    さらに、米ぬかは外皮の部分でもあるため、食物繊維も豊富。タンパク質も一定量含まれているなど、栄養素でいえばほぼ満遍なく入っている素材なんです。

    イノシトール
    ごはんくん

    ひとつだけじゃなくて、いろんな栄養素が含まれているんですね。

    研究開発本部のみなさん

    しかも、その成分がどんな働きを持つのかを研究するなかで、さらに多くの可能性も発見されています。

    たとえば、腸の細胞や脳の神経細胞などの培養実験に「イノシトール」を用いると、どの細胞も元気になる反応が見られ、可能性の高さを実感しています。

    また、「フェルラ酸」は、認知機能を改善する効果を持つことが実証されつつあります。高齢化が進むなかで、米ぬかが健康維持の分野にどう関わっていけるのかは、今後さらに注目されるテーマなんですよ。

    ごはんくん

    すごい!米ぬかに、人間の生命活動に深く関わるパワーが秘められているんですね。

    研究開発本部・中村紀夫さん

    まさにその通りです。米ぬかは、昔から身近にあった素材ですが、その中にどんな成分があり、どんな働きをするのかが少しずつ分かってきました。これまでの研究では、成分を取り出すことが中心でしたが、現在はその成分がどのような機能を持つのか、またどのような分野に応用できるのかを探る段階に進んでいます。

    これによって、米ぬかは単なる原料ではなく、あらゆる分野で活用できる素材として見直されているんです。

    米ぬかの研究が教えてくれること

    ごはんくん

    米ぬかの可能性に驚かされるばかりです!ここまで研究が進んできたのには理由があったのですか?

    取締役・築野靖子さん

    転換点の一つのきっかけとなったのは、1998年に築野グループの呼びかけで始まった、お米についての国際シンポジウムです。 これを機に、一企業の研究の枠を超えて、国内外の大学や研究機関との連携が大きく広がりました。こうした産学連携のおかげで、米ぬかの価値は世界的に注目されるようになったんです。

    ごはんくん

    築野グループさんの果たした役割は大きい!それにしても、研究を進めていくとおもしろい発見にも出会いそうですね。

    研究開発本部・中村紀夫さん

    そうなんです。印象的なのは、米ぬかのどの成分を調べても、何かしら良い結果が出る点です。これは、米ぬかが多様な成分を含んでいるからこそ。研究すればするほど、新しい可能性が見えてくる素材です。

    ごはんくん

    米ぬかって、すごいパワーの持ち主なんですね!

    広がり続ける米ぬかの可能性

    ごはんくん

    ところで米ぬかの成分って、実際にはどんな分野で使われているのですか?

    研究開発本部のみなさん

    食品だけでなく、化粧品、医薬品、工業分野などにも活用されています。

    具体的には、「イノシトール」と「フィチン酸」を組み合わせた研究で強い育毛効果が確認され、実際に育毛剤の原料として使われている例もあります。美容面でも、美白や保湿成分として多くの製品に採用されているんですよ。

    さらに、米ぬか特有の成分「ガンマオリザノール」は、継続して摂取すると肌の水分量を高めるという科学的根拠が得られました。このデータに基づいて、日本で初めて肌へのメリットを表示できる機能性表示食品としてのこめ油を、当社で開発しました。

    ごはんくん

    すばらしい効果!米ぬかの可能性は、これからもますます広がりそうですね。

    研究開発本部のみなさん

    「イノシトール」や「ライスマグネシウム」については、脳波を測定しながら、集中やリラックスへの関わりを調べる研究も進めています。ほかにも睡眠の質改善への効果など、可能性は無限です。

    さらに、意外なところでは環境対策としての活用も注目されていて、 その代表が日焼け止めです。現在、日焼け止めに含まれる一部の化学物質がサンゴ礁などの海洋生態系に悪影響を与えるとして、世界的に規制が進んでいます。そこで、代替成分として期待されているのが「フェルラ酸」。紫外線対策もでき、さらに環境にも優しい天然由来の素材なんですよ。

    ライスマグネシウム
    ごはんくん

    健康や美容だけでなく環境にも!米ぬかの利用はSDGsにもつながるんですね。

    研究開発本部のみなさん

    また工業分野では、米ぬかを原料としたライスインキが活用されています。ライスインキは、植物由来の原料を使うバイオマスインキの一種で、環境負荷の低減につながるんです。

    米ぬか由来のため新たな農地開拓が不要で、地産地消の価値もあります。特にグラビア印刷向けのライスインキは、こめ油の精製時に出る非可食部を活用した当社独自の技術によるもので、食料を無駄にしない製品として、創業以来の「食糧の安定供給」という考え方を体現しています。

    米ぬか活用が、お米の未来を変える⁉︎

    ごはんくん

    米ぬかの可能性を聞いていくうちに、お米そのものの捉え方も変わってきました。

    取締役・築野靖子さん

    そう感じてもらえることが、私たちの一番の願いなんですよ。

    お米は、普段は“あって当たり前”の存在。毎日の食卓に自然にあるものだからこそ、その価値を意識することはあまりありません。ただ、価格が上がったり、手に入りにくくなったりしたときには、多くの人が不安を感じます。それは、お米が特別な理由がなくても選ばれている食べ物であり、暮らしの中に深く根付いている証でもあります。小さな子どもでも自然と白米を食べたがるように、日本人にとって感覚的に受け入れられている存在といえます。

    だからこそ、これまであまり意識されてこなかった米ぬかの可能性を知っていただくことが、お米の価値そのものを見直すきっかけになればと思っているんです。

    ごはんくん

    なるほど。ということは、米ぬかの研究はこれからますます重要になっていきそうですね。

    研究開発本部・中村紀夫さん

    そのとおりです。お米は白米として食べるだけでなく、米ぬかからこめ油をつくり、さらに研究を進めて食品や医療品、化粧品、工業用原料へと活用していく。これは、お米をまるごと活かす考え方です。

    米ぬか由来の成分がさまざまな製品に使われ、その可能性が認識されれば、米ぬかに対する評価も高まります。それは、お米全体の価値向上につながるでしょう。米ぬかは単なる副産物ではなく、お米の未来を切り拓く存在なんですよ。

    ごはんくん

    最後に、僕たちにできることがあればお聞きしたいです!

    取締役・築野靖子さん

    お米を資源として捉えてみることかもしれませんね。

    白米として食べる部分だけでなく、削られる米ぬかにも役割があり、価値があります。そのことを知るだけで、お米の見え方は少し変わるはずです。

    お米は、日本人の暮らしや文化と深く結びついてきました。そして今、米ぬかの活用をきっかけに、その可能性は健康や美容、環境や産業までも広がろうとしています。削られてきた部分に、新たな価値を見出していく。米ぬかは、そのことを教えてくれる存在なんです。

    ごはんくん

    米ぬかに、これほど大きな価値があったなんて……。お話を伺って、お米そのものの見方が変わりました。米ぬかの活用がお米の未来を広げるって、本当にすてきです!築野グループのみなさん、ありがとうございました!

    取材・執筆: 福島和加子

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