お茶漬けから広がるごはんの楽しみ方。お茶漬けマニアに聞く一杯の話

「お茶漬け=手軽に食べるもの」。
そんなイメージを持つ人は多いかもしれません。
さらさらと食べられる、シンプルな一杯。
けれどその中には、出汁や具材、そして土地ごとの食文化が折り重なっています。
さらに、お茶漬けはごはんそのもののおいしさを改めて感じさせてくれる料理でもあります。
今回お話を伺ったのは、これまでに1,500食以上のお茶漬けを食べ歩いてきたお茶漬けライター・もちづきもちこさん。
全国各地のお茶漬けを味わってきたもちづきさんに、お茶漬けの奥深さと日本の食文化としての魅力を聞きました。
お話を伺った人
もちづきもちこさん
ライター。食べたお茶漬けは2,000食以上・インスタントお茶漬けは250種完食したお茶漬けマニアでもある。TBSテレビ『マツコの知らない世界』など、メディア出演経験多数。2025年1月より『日本お茶漬け協会』を設立し、会長を務めている。
HP:

慌ただしい朝に出会った一杯のお茶漬け

もちづきさんがお茶漬けにハマったきっかけは、小学生の頃の朝の出来事でした。
家族全員で寝坊してしまった、慌ただしい日。
その中でお母さんが用意してくれたのが、シンプルなお茶漬けだったといいます。
その後もお茶漬けは、日常の中で当たり前のように寄り添う存在になっていきました。
部活の朝練の前とか、仕事の夜食でもよく食べていて。振り返ると、いつもお茶漬けだった気がします。
忙しい日々の中で何度も手に取ってきた一杯。
そばにあったお茶漬けと改めて向き合うことになったのは、2019年のことでした。
仕事を辞めたタイミングで、「自分は何が好きなのか」と見つめ直したといいます。
同時に、ライターとしての道も考え始めていた時期でした。
そのときに足を運んだのが、秋葉原の食品店です。
ふと思い立って、お茶漬けと名のつくものを全部買ってみたんです。気づけば1万4000円分くらいになっていました。
このときはまだ、お茶漬けを特別なものとして意識していたわけではなかったそうです。
けれど、その様子を見ていた友人から「そんなに好きなら、お茶漬けのことを書いたら?」と言われ、自分の中にある“好き”に気づきます。
それをきっかけに、お茶漬けにもっと詳しくなろうと思って、集めたり食べ歩いたりするようになりました。
全国で出会ったお茶漬けの奥深さ
全国のお茶漬けを食べ歩く中で、その印象は大きく変わっていったといいます。
お茶漬けって思っていたより種類が多くて、すごく面白いんです。
フリーズドライから具材入りのパウチタイプ、生の具材を使ったものまで。さまざまなお茶漬けに出会ってきました。
パウチのお茶漬けでも、お魚がふわっとしたまま食べられて。加工技術にもびっくりします。
また、ローストビーフを使ったお茶漬けなど、肉を主役にした一杯に出会うことも。

お茶漬けのイメージを覆すような組み合わせも少なくありません。
たとえば、佐賀で出会ったのは、鯛の刺身に瓶詰めのわさび茎を合わせたお茶漬け。
シンプルな組み合わせながら、わさびの香りがアクセントになり、印象に残る一杯だったといいます。

なかでも印象に残っているのが、福岡で出会ったごまさばのお茶漬けです。

出汁をかけると身がきゅっと締まって、ごはんとの相性がすごくよくて、おいしかったですね。
さらに、愛媛で食べた鱧のお茶漬けも忘れられないといいます。
骨を全部きれいに取ってあって、すごく食べやすかったです。味もぎゅっと濃くて、衝撃的なおいしさでした。
地元の水でとった出汁や、その土地で育ったお米とともに味わう一杯は格別なものだったそうです。
お店の方から、土地のもので食べるなら土地のものを使った方がおいしいと聞いて。すごく納得しました。
こうして食べ歩く中で、お茶漬けには地域ごとの違いが表れることにも気づきます。
福岡だったらごまさばや明太子など、名物を使ったものが多い印象がありますね。
名古屋だと味が濃いめの具材に出汁をかけて、全体をまろやかにするようなものが多かったです。
さらに、出汁の味わいにも違いがあるといいます。
関東は醤油で味が決まる感じで、関西は塩で決まる感じ。同じ出汁でも全然違って面白いです。
一杯の中にその土地の食材や味の好み、暮らしの背景が表れる。
お茶漬けは、地域ごとの食文化の違いを楽しめる料理でもあります。
お茶漬けだからこそ引き立つごはんの魅力

さらさらと食べられる軽やかさが魅力のお茶漬け。
けれど、その一杯の中にはお米の味わいがしっかりと感じられるといいます。
ちゃんと噛んでみると、お米の甘みがすごく出るんです。
出汁やお茶と一緒に食べることで、口当たりは軽くなりながらも、噛むほどにお米の甘さが引き立っていく。そのバランスこそが、お茶漬けならではのごはんの魅力です。
出汁のキリッとした味と、お米の甘さが合わさる感じがすごく好きですね。
さらに、お米の種類や炊き方によっても印象は変わります。
もっちりしたお米よりも、少し硬めで粒立ちのいいごはんの方がお茶漬けには合う気がします。
軽やかに食べられる中にも、しっかりと感じるお米の存在。
お茶漬けは、ごはんそのもののおいしさを改めて教えてくれる一杯でもあります。
おうちでも楽しめるお茶漬けの作り方
お茶漬けは、特別な材料がなくても楽しめる料理です。
お茶漬けの素がなくても、ごはんとお茶があれば簡単に作れるんです。
ごはんに具材をのせて、お茶やお湯をかけるだけ。それだけで一杯のお茶漬けが完成します。
最初はお茶で作るのが少しハードル高いと感じる人もいると思うんですけど、そんなときは塩をひとつまみ入れると味がまとまりやすくなります。
さらに、お茶の種類や具材を変えることで味わいの幅も広がります。
ウーロン茶で作るのもおいしいんですよ。ザーサイと合わせると、すごく相性がよくて。

意外な組み合わせに思えますが、ウーロン茶のコクとザーサイの旨みが重なり、新しいお茶漬けの楽しみ方が生まれます。
ほかにも、麦茶にツナを合わせたり、焼きおにぎりで作ってみたり。そんな風にアレンジしてみるのもおすすめです。
身近な材料で気軽に作れるからこそ、自分なりの一杯を見つけていく楽しさがあります。
いつもそばにある一杯
これまで数多くのお茶漬けを食べてきたもちづきさん。
その言葉の端々に、お茶漬けの魅力がにじんでいます。
お茶漬けって身近なものなんですけど、こんなに違いがあるって知らない人も多いと思うんです。
手軽に食べられる一杯の中に、地域ごとの食材や味の違いがあり、組み合わせによって一杯ごとの印象も大きく変わっていきます。
お茶の種類や具材を変えてみるだけでも、楽しみ方が広がりますよ。
そんな風に日々の中で身近にあり続けた存在として、もちづきさんはこう話します。
私にとってお茶漬けは、伴侶みたいな存在ですね。
忙しい日にも、ふとした時間にも、自然とそばにある一杯。
いつものごはんに、少しだけ新しいお茶漬けを取り入れてみる。
そんな小さな変化から、その奥深さに出会えるのかもしれません。
イベント情報
もちづきさんが会長を務める日本お茶漬け協会が主催する「第1回お茶漬けシンポジウム」が、2025年5月17日(日)に開催されます。
当日は、お米・お茶・梅干しのプロフェッショナルとともに、もちづきさんが登壇し、お茶漬け文化について語るトークが予定されています。
イベントHP:https://piku.page/@mczk_mochiko/ochazuke_symposium
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それが、しびれるほどおいしくて。それ以来ずっと好きですね。