炊き立てのご飯がおいしい理由は◯◯! パナソニックさんに調理科学の観点から理由を聞いてみた

炊飯器や土鍋をあけた瞬間、ふわりと立ちのぼる湯気とごはんの香り。
つややかでふっくらと炊きあがったごはんは、見ているだけで幸せな気持ちになって
食べると口いっぱいにお米の甘みと旨味が広がり、もっと幸せな気分になる。
ごはんはやっぱり炊きたてが一番おいしい!
でも世の中にはおにぎりやお弁当、すぐにチンして食べられる冷凍ごはんなどおいしいごはんがたくさんあるのに、
なぜ炊きたてのごはんが一番おいしく感じるのだろう?
その疑問を紐解くために、ごはんが大好きなソラミドごはんくんが、パナソニック株式会社 くらしアプライアンス社草津拠点で、調理科学を用いて炊飯器を設計する山中百合恵さんにお話を伺いました。
炊きたてごはんのおいしさの理由だけでなく、科学的かつ感覚的な視点から見たおいしいごはんの定義や、ごはんをおいしくする炊飯方法など、これまで知らなかったごはんの世界を深く知ることができました。
山中百合恵さん
パナソニック株式会社 くらしアプライアンス社
キッチン空間事業部 調理器技術部
調理ソフト課
Panasonic Cooking@Lab 炊飯部
2018年に入社。お米の種類・状態によって水分量や加熱時間、熱量などを研究しながら、日々おいしいごはんを追求している。入社するまではパン党だったが、研究で米の変化の魅力に気づき、今ではすっかりごはん党に。

ソラミドごはんくん
ごはんが大好き!
ちょっぴりヒツジに似たごはんの妖精。好奇心旺盛で、ごはんのことなら何でも知りたい!聞きたい!見てみたい!と思っている。

炊きたてごはんがおいしい理由とは?

炊きたてごはんがおいしい理由は、お米からごはんになった過程のなかで、最もよい状態になっているからです。
お米のデンプンは、”生米”の状態だと水分が含まれてないβデンプン、水と熱によって炊いた”ごはん”の状態だと水分の多いαデンプンになります。ただし冷めると水分が抜け、またβデンプンに戻っていきます。
そのため、炊きたてというのが最もデンプンがα化(糊化)されている、つまり”ごはんになっている”瞬間なのです。デンプンがα化されていると水分がしっかりと保たれ、甘味やみずみずしさも感じやすく、食感の面でも粘りや弾力が優れています。反対に、時間が経ってβデンプンに戻ると、食感がパサついたり、風味も感じにくくなるのです。
このように、炊きたてはお米のポテンシャルが最大に引き出され、ごはんとしてベストなコンディションだということ。だから、おいしいのです。


炊きたてごはんはやっぱりおいしいなぁと、感覚的にいつも思っていたけれど、デンプンの状態がカギになっていたんですね。
ちなみに、おいしいごはんって、どんな要素を満たしたものだと思いますか?

私どもパナソニックとしては、「外観、香り、硬さ食感、粘り、味」の5つの要素のバランスがとれたごはんを、日本人誰もがおいしいと感じるごはんだと定義としています。
味は、口に入れた時はほのかな米の甘味、その後に旨味を感じるものです。食べた瞬間は甘くても、咀嚼した後に旨味の余韻がないものはおいしいごはんの定義から外れます。食感は時代のトレンドにもよりますが、最近はハリのある粒感で口に入れるとほぐれ良く、噛んだときに跳ね返ってくるような弾力があるものを定義に入れています。

米の食感にトレンドがあるんですか?

10年前はもちもちとした食感が流行りましたが、その後時代の流れでコンビニのお弁当やおにぎりを食べる人が増加し始めました。また、近年では土鍋ごはんや釜めしも流行していますよね。これらのごはんはしゃっきりと粒感があるので、こうした食感がおいしいと感じる人が多くなったのだと思います。
香りは甘すぎず、かといってあっさりしすぎないでんぷんの澄んだ自然な香り、形はツヤがあって白く透明感があり、炊いた時にハリ感があるものがおいしいごはんとされます。
実は粘りにもトレンドがあるんですよ。昔は粘りや甘味が強いほうが好まれましたが、今はほどよい粘りがいいといわれます。これも、コンビニのごはんが影響しています。

おいしく炊くには、吸水と火力が重要

ごはんをおいしく炊くポイントについても、ぜひ教えてください!

おいしいごはんの炊き方を歌にした「はじめチョロチョロ 中パッパ ぶつぶつ言う頃火を引いて 一握りの藁燃やし 赤子なくとも蓋とるな」というフレーズを聞いたことがある人も多いかと思いますが、どの炊飯工程も大切です。
中でもおいしいごはんにするために重要なのは、「はじめチョロチョロ」に当たる吸水。
炊飯器の場合、40〜50℃で米に吸水させることで、米の酵素を働かせて甘味や旨味を引き出します。水の温度が高すぎると逆に吸水性が低下したり、甘味が出過ぎたりします。

「はじめチョロチョロ」の弱火で加熱って、ほどよい温度でお米に水を吸わせるという目的があったんですね。

次に「中パッパ」は強い火力で一気に熱を加え、粒の中心まで熱を通すことでふっくら感を出します。
「ぶつぶつ言う頃火を引いて」では、少し火力を落とし、沸騰を維持させることで更に糊化を促します。当社の炊飯器では、おどり炊きによる爆発的な沸騰によってお米一粒一粒にムラなく熱を与えてふっくら、ほぐれ感を出していきます。
「一握りの藁燃やし、赤子なくとも蓋とるな」において余分な水分を飛ばし、べたつきを抑えながら高温をキープすることで、水分を均衡化し、ハリ・粒感を引き出すことができます。




うわぁ〜、炊きあがったごはん、おいしそう!
炊きたてのごはんをよりおいしく食べるためのポイントもあればぜひ教えてください!

炊きたてごはんをおいしく味わうには、炊きあがったらすぐにほぐすことが大切。そのままにしておくと釜の中の水蒸気がごはんについて、ベチャッとなってしまいます。
ほぐし方のコツは、米粒を潰さないように、しゃもじで鍋肌を回すようにしながら米を持ち上げて空気に触れさせること。米の「おねば」に空気が触れると、味が引き締まるんですよ。


炊きあがったらすぐに、まずはほぐすことが大切なんですね!
ついつい、食べるまでそのまましばらく保温にして放っておいてしまうことがあるので、気をつけよう……

それと、盛り付け方にもコツがあるって知っていましたか?

え? そうなんですか? 知らなかった!
どんな盛り付け方なのか知りたいです!

しゃもじでごはんをすくったら、ひっくり返して茶碗につけるのではなく、そのままスライドさせるように盛り付けます。こうすると米の粒が崩れず、空気も含まれてよりおいしく感じられますよ。


本当だ〜、ふんわり盛り付けられておいしそう!
五感で味わう炊きたてごはんは、日常の贅沢な食べ物

ここからは、山中さんがおすすめするおいしいごはんの食べ方についてもぜひ教えてください。例えば、おすすめの”ごはんのおとも”はなんでしょうか?

塩昆布ですね。昆布の旨味成分であるグルタミン酸と塩味が、ごはんの甘味と旨味を引き立ててくれます。
でもやっぱりまずは、そのままで炊きたてごはんのおいしさを味わってほしいと思います。時間が経つと米の食感や甘味の感じ方も変わるので、比較してみるのもおもしろいですよ。

塩昆布も、ごはんの時間の経過による食べ比べも、今度ためしてみます!

ちなみに、残ったごはんはすぐに冷凍するのがおすすめです。
炊きたてごはんは水分と熱のバランスが一番いい状態ですが、時間が経つにつれて水分が蒸発し元の米の状態に戻ろうとするため、パサパサになってしまいます。残った炊きたてごはんをすぐに冷凍すれば、これらの水分がキープされたままなので、解凍して次に味わうときもおいしくいただけますよ。


参考になります!
最後に、山中さんが感じる炊きたてごはんの魅力について教えてください。

炊きたてごはんの魅力は、とても贅沢な食べ物だということ。
まず、今では炊飯器のボタンを押せば簡単においしく炊きあがりますが、自分で炊くとなると五感を使って様々な火力で炊く必要があるため意外と難しく、昔は鍋につきっきりにならなければなりませんでした。ごはんは、本来とても手間のかかる料理なんです。
それに、現代は昔以上に忙しい生活になり、お米をまとめて炊いて冷凍することが当たり前になってきています。そのため、炊き立てのごはんを食べられる機会が圧倒的に少なくなっていますよね。
そしてなによりも、炊きたてごはんは味のポテンシャルが最も引き出された状態で、ツヤツヤとした色合いや湯気、香りなど、五感をフル稼働して味わえるといった贅沢さもあります。
このように、炊きたてごはんはとても貴重で贅沢なもので、大切に食べなければならないな、と感じます。

山中さんのお話を聞いて、あらためて炊きたてごはんは日常の贅沢な食べ物だということがわかりました!
これからは炊きたてごはんの旨味、甘みをしっかりと噛み締めながら味わうことにします。山中さん、ありがとうございました!
土鍋でごはんをおいしく炊くコツはこちらの記事で紹介しています!

ごはんの保存方法についてはこちら

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こんにちは。今日は、炊きたてごはんはなぜおいしいのか、その理由を探りたいと思っています。さっそくですが、炊きたてごはんがおいしい理由を教えてください!