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あの日のごはん帖#07「ふたりでつくる、季節のごはん」

    誰の心にもある「記憶にのこる味」。
    水彩画家・nawが、水彩画とともにその思い出を綴ります。
    ほっと心がほどけるような、懐かしいごはんの物語をお届けします。

    おいしいものを、一緒につくる

    恋人は、料理をするのが好きだ。
    わたしも、料理をするのが好きだ。

    だから、ふたりで一緒にごはんをつくることがよくある。

    イタリア・サルデーニャ島の郷土料理、クルルジョネスを包んでみたり、
    ピザ生地を仕込んで焼いたり、
    そのとき食べたいパスタをあれこれ考えてつくったり。

    少し手の込んだ料理ほど、
    ああでもない、こうでもないと言いながら
    ふたりで台所に立つ時間が楽しい。

    どうしたらもっとおいしくなるだろう。
    この食材には、どんな火入れが合うだろう。
    何を合わせたら、もっといい一皿になるだろう。

    そんなことを話しながら料理をする時間が、
    わたしはとても好きだ。

    畑のかぶと、川のイワナ

    わたしの実家では畑をやっていて、
    季節ごとにいろんな野菜が採れる。

    その日、畑にあったのは、つやつやの小かぶ。
    葉っぱまでぴんとしていて、
    見ているだけで、何を作ろうか考えたくなるようなかぶだった。

    ちょうどそのころ、恋人のお父さんが
    川の上流でイワナを釣ってきていて、それを分けていただいた。

    分けてもらったイワナは、
    お父さんが内臓の処理まできれいに済ませてくれていて、
    すぐに料理に使えるよう整えられていた。

    畑で採れたかぶと、
    川からやってきたイワナ。

    思いがけずそろった食材を前に、
    さて、どう食べようかとふたりで考える。

    そんな時間もまた、
    料理のおいしさの一部になっている気がする。

    火を入れて、皿にのせるまで

    その日は、イワナを岩塩でシンプルに焼くことにした。

    鉄のフライパンにオリーブオイルをたっぷり注いで、
    ローズマリーを添え、
    皮目をじっくり焼いていく。

    ぱちぱちと音を立てながら焼けていくイワナは、
    皮がこんがり香ばしく、
    身はほくほくとしていて、驚くほどジューシーだった。

    かぶも一緒に火を入れると、
    やわらかくなった実にじんわり甘みが出て、
    イワナの塩気とよく合う。

    畑で採れたかぶの葉は、捨てずにスープにした。
    「葉っぱはスープにしようか」
    「じゃあわたしがつくるね」
    そんなふうに自然と役割が決まって、
    料理がひとつずつできあがっていく。

    料理そのものももちろん好きだけれど、
    こうして一緒に台所に立って、
    何をどう食べるかを相談しながら形にしていく時間が、
    わたしにとっては何よりうれしい。

    季節を、おいしく食べるために

    おいしいものを、好きな人と一緒に食べる。
    それだけでも十分しあわせなのに、
    その前の「どうおいしく食べようか」を
    一緒に考えてくれることが、わたしはとてもうれしい。

    ふたりとも、食べることが好きで、
    食材をどう料理したらもっとおいしくなるかを考えるのが好き。

    お酒が飲めるときは、
    できあがった料理に何を合わせようかと話しながら、
    ペアリングを楽しむこともある。

    これから季節がめぐって、
    畑にはまた違う野菜が実って、
    新しい食材が食卓にやってくるだろう。

    そのたびに、
    これはどう食べようか、
    どんなふうに火を入れようか、
    何を添えようかと話し合いながら、
    ふたりで季節のごはんをつくっていけたらいい。

    そんな時間を、
    これからもたくさん重ねていきたいと思っている。

    naw
    水彩画家

    福井県在住の水彩画家。
    おいしく、たのしく、ゆるやかに水彩画を描いています。
    視覚に障がいを持つ私だからこそ見える世界と色彩を、そっとおすそ分けできたらと思っています。
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