玄米は消化に悪い?科学的な理由と胃腸に優しい正しい食べ方

「玄米は消化に悪い」と言われる最大の理由は、お米の表面を覆う硬いぬか層が消化液を弾き、胃腸に負担をかけてしまうためです。
しかし、以下の工夫を取り入れることで消化不良はしっかり防げます。
- 拝み洗いで表面に傷をつける
- 半日から1日しっかり水に浸ける
- 一口30回以上よく噛んで食べる
この記事では、農家・研究者などお米にまつわる専門家への取材を通した情報発信をする『ソラミドごはん』編集部が、玄米でお腹が張る原因から胃腸に優しい正しい食べ方までを分かりやすく解説します。
消化がゆっくりな性質を味方にして、無理なく美味しく健康的な食生活を始めましょう。
本記事の監修者
ソラミドごはん編集部
「今日も、ごはんがおいしいな。」をコンセプトに、全国のこだわりの農家さん、大学の研究者、企業・団体の専門家などの方々に取材し、お米に関する様々な情報発信を行っている専門メディアです。こだわりのお米・ごはんの道具も販売しています。※写真は当サイトのイメージキャラクター

玄米が消化に悪いと言われる理由
玄米を食べるとお腹が張る理由は、その構造や成分にあります。
体に良いはずの玄米がなぜ消化に負担をかけるのか、主な3つの原因をわかりやすく解説します。
ぬか層がでんぷんの分解を遅らせる
結論として、玄米の消化を遅らせる最大の原因はお米の表面を覆う硬いぬか層です。この層が水分を弾き、消化酵素が内部のでんぷんに届くのを邪魔してしまうからです。
白米と違って胃腸の消化液だけでは十分に溶かしきれないため、そのまま飲み込んでしまうと胃に負担がかかりやすくなります。
不溶性食物繊維で便秘や下痢になることも
玄米の食べすぎは、かえって便秘や下痢を引き起こす原因になります。玄米に含まれる食物繊維の多くは、水に溶けない不溶性食物繊維だからです。
適量なら腸を整えますが、胃腸が弱っているときにたくさん食べると腸内で水分を吸って便が硬くなりすぎます。
ご自身の体調に合わせて食べる量を少しずつ調節してみてください。
フィチン酸がミネラルの吸収を阻害する
玄米はそのまま食べると、鉄分や亜鉛などのミネラルが吸収されにくいという弱点があります。
ぬか層に含まれるフィチン酸という成分が、胃腸の中でミネラルと強く結びついてしまうためです。
栄養をしっかり体に取り入れるためには、食べる前にお水に浸けるなどして成分の働きを抑える工夫が必要です。
参照元
消化に悪いからこそ得られる玄米のメリット
玄米が消化されにくい性質は、私たちの健康にとって大きなメリットにもなります。
消化がゆっくり進むことで得られる嬉しい2つの効果を見ていきましょう。
なお、玄米は健康上の効果が非常に高い食材です。
より詳しい効果は下記記事でまとめていますので合わせてお読みください。
※関連記事:玄米の健康効果・メリット7【管理栄養士監修】
食後の血糖値上昇を緩やかにする効果
まずお伝えしたいのは、玄米は食後の血糖値が急激に上がるのを防いでくれるということです。消化に時間がかかるということは、それだけ糖質がゆっくりと体内に吸収されるからです。
毎日の主食を白米から玄米に変えるだけでも、体への負担を減らしながら健康的な食生活を送ることができます。
脂質の吸収を抑え代謝を助ける働き
玄米を食べることで、食事から摂った脂質の吸収を抑える効果が期待できます。消化されにくい成分が腸内で働くことで、脂質が体の外へ排出されやすくなるからです。
脂っこい食事が気になる方にとって、ゆっくり消化される玄米は代謝を助けてくれるとても心強い味方になります。
参照元
消化不良を防ぐ!美味しい玄米の炊き方と準備
玄米を胃腸に優しく美味しく食べるためには、炊く前の準備がとても重要です。
少しの手間で消化吸収率がぐっと上がるおすすめの準備方法をご紹介します。
表面に傷をつけて吸水させる拝み洗い
玄米を洗うときは、両手ですり合わせるように洗う拝み洗いが一番のポイントです。
硬いぬか層に細かい傷をつけることで、そこからお水が中までしっかりと浸透するようになります。
このひと手間を加えるだけで炊きあがりがふっくらと柔らかくなり、胃腸への負担を大きく減らすことができます。
フィチン酸を減らす浸水時間の目安
ミネラルの吸収を邪魔するフィチン酸を減らすには、たっぷりの時間お水に浸けることが大切です。
夏場は半日、冬場は1日を目安にじっくりと浸水させてから炊くことで、体内に吸収されやすい状態になります。
夏場の浸水は雑菌の繁殖に注意
気温が高い夏場に浸水させる場合は、必ず冷蔵庫の中で行うようにしてください。
常温で長時間お水に浸けっぱなしにすると、雑菌が繁殖してお水が傷んだり嫌なニオイの原因になったりします。
こまめにお水を交換して低温管理することが、美味しく安全に炊き上げるコツです。
消化吸収を高める発芽玄米と酵素玄米
浸水や炊飯に少し手間をかけることで、玄米はさらに消化に良く栄養満点な状態に進化します。
ここでは人気の2つの食べ方と、白米との違いについて比較表でわかりやすくご紹介します。
| 種類 | 消化の良さ | 栄養価 | 手軽さ |
|---|---|---|---|
| 白米 | とても良い | 普通 | 炊飯器ですぐ炊ける |
| 玄米 | あまり良くない | とても高い | 浸水に時間がかかる |
| 発芽玄米 | 良い | 非常に高い | 白米と同じように炊ける |
手軽で栄養価の高い発芽玄米
消化を良くしたい方には、玄米をわずかに発芽させた発芽玄米がおすすめです。
発芽の過程で酵素が働いてぬか層の成分が変化し、消化しやすくなるだけでなく栄養価もさらにアップします。
市販の発芽玄米を使えば長時間の浸水も不要になるため、毎日の食事に手軽に取り入れることができます。
参照元
- 文教大学:玄米および発芽玄米中のフィチン酸に関する研究
- 農林水産省:米の調理特性
- 農林水産省:米の貯蔵中の変化、低温貯蔵効果
- 秋田栄養短期大学:玄米の浸水と酵素の活性化について
- 農研機構:玄米の構造と消化性について
胃腸に負担をかけない玄米の食べ方
毎日の食事に玄米を無理なく取り入れるためには、食べ方や選び方にも少しのコツが必要です。
胃腸への負担を和らげる3つの方法をご紹介します。
一口30回以上しっかり咀嚼してぬか層を壊す
玄米を食べるときは、とにかくよく噛むことが一番の消化対策になります。お口の中で硬い組織をすりつぶすことが、スムーズな消化のための最初のステップだからです。
一口につき最低でも30回は意識して噛むことで、消化液がしっかりと浸透して胃腸への負担を大きく減らすことができます。
精白度を調整して分づき米を選ぶ
玄米100パーセントにこだわらず、お米の削り具合を調整するのも賢い方法です。
栄養と消化のバランスが良い分づき米について解説します。
胚芽を残す分づき米の魅力
白米と玄米の良いとこ取りができるのが、ぬか層を部分的に削った分づき米です。
硬いぬか層を取り除きつつ栄養豊富な胚芽を残すことで、白米に近い消化の良さで食べやすくなります。
5分づきや7分づきなど、ご自身の好みや体調に合わせてお米の精白度を選べるのも大きな魅力です。
胃腸が弱い人や高齢者におすすめの精白度
お子様やご高齢の方、胃腸の調子が優れない方は、白米に近い7分づきから始めるのがおすすめです。
7分づきであれば白米とほぼ同じようにふっくら炊き上がり、消化の負担もほとんどありません。
体が慣れてきたら少しずつ玄米の割合を増やしていくと、無理なく健康習慣を続けることができます。
消化吸収しやすい玄米粉を取り入れる
噛むのが苦手な方や手軽に栄養を摂りたい方には、粉状に加工された玄米粉が非常に便利です。玄米を微粉末にすることで、特有の硬い食感や消化の難点が解消されるからです。
パンやパンケーキの生地に混ぜたりお料理にとろみをつけたりと、毎日の食事にさっと取り入れることができます。
参照元
「玄米は消化に悪いのか」に関するまとめ
表面の硬いぬか層が消化液を弾いてしまうことや、不溶性食物繊維が豊富で胃腸に負担をかけやすいためです。
拝み洗いで表面に傷をつけ半日以上お水に浸けることや、一口30回以上しっかり噛むことが効果的です。
玄米は消化が遅いからこそ、食後の血糖値上昇を緩やかにしたり代謝を助けたりする素晴らしいメリットがあります。
胃腸の調子が優れないときは発芽玄米や分づき米などを上手に活用し、ご自身の体調に合わせて無理なく健康づくりに役立てていきましょう。
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