ソラミドstore

お買いもの

生産者

読みもの

ご案内

生産者紹介

Nice Rice de Smile! ~おいしいごはんで笑顔に~

岡元農場

石川県能美市

「楽しさ広がる農の世界を創造し、人々の豊かな生活に貢献すること」を掲げ、お米や加賀丸いも、育てたお米の加工品を販売しています。『厳選プレミアム米(特別栽培米コシヒカリ)』は、甘みと粘りが強く、通常のコシヒカリよりも一粒一粒の食べごたえがしっかりとしていることです。つやつやと炊きあがったお米は、食卓の主役となるでしょう。


加賀百万石の大地で、豊かな自然を守りおいしいお米を育てる『厳選プレミアム米(特別栽培米コシヒカリ)』生産者・岡元望さん

西には日本海、東には日本三名山のひとつである霊峰白山がある、石川県能美市。北部には手取川が流れ、豊富な水に恵まれています。

ここ、石川県能美市を拠点とするお米農家『岡元農場』は、この能美市で江戸時代から代々お米を作ってきました。1995年に法人化し、この豊かな自然と地域のなかで、土作りからていねいに作物を育てています。

「Nice Rice de Smile! ~おいしいごはんで笑顔に~」が農場のスローガン。「楽しさ広がる農の世界を創造し、人々の豊かな生活に貢献すること」を掲げ、お米や加賀丸いも、育てたお米の加工品を販売しています。

なかでも、ソラミドごはんでお取り扱い中の『厳選プレミアム米(特別栽培米コシヒカリ)』は農薬を慣行栽培の半分以下に抑え、有機肥料100%で栄養を与えながら育てています。

「田んぼには、カエルやトンボなどの生きものが、たくさんいますよ」

こう話すのは、岡元望さん。東京でのサラリーマンを経て、実家を継ぐために能美市にUターンしました。岡元さんに、お米や農業へのこだわりや想いを伺いました。

岡元農場の看板を受け継ぐ決意

「能美の自然はいいですよ。見ていると落ち着くし、心がほっこりします。高校生まで能美に住んでいましたが、東京に住んだ経験がなければ、こう思うことはなかったと思います」

今回インタビューした岡元望さんは、岡元農場の長男に生まれました。大学進学のために関東の大学へ進学し、東京での約5年間のサラリーマン生活を経て、Uターン。2023年1月に、家業である岡元農場で就農しました。

「東京での就職を決めたのは、大学3年生のときです。農家の長男なので、小さい頃から『いずれは継ぐんだろうな』と考えてはいました。東京でサラリーマンとして暮らすのは、その時しかできないことだし『自分のやりたいことで積んだ経験は、今後に役立てられるはずだ』と考えました」

大学は農学部を選んだものの、「農家の経験しかなくて困ることが今後あるのではないか」「いろいろなスキルを身に着けてから帰りたい」とさまざまに考えたといいます。就職先には、食べることが元々好きだったことや将来地元に戻って農業をする可能性も見据えて、食品関係の営業職で「お米を含む作り方のこだわり、流通、商品を売る力」を身に着けることにしました。

転機が訪れたのは2021年8月のことでした。お父さまと一緒にお米や加賀丸いもを育てていたお祖父さまが亡くなり、戻ってきて一緒に農業をしないか?と言われたそうです。

「東京へ行ってから初めて、父からしっかりと『帰ってきて一緒に農業をやらないか』と言われました。もう少し東京で、と思わないこともありませんでしたが、いずれは戻って就農するつもりでしたし、『このタイミングかな』と戻ることにしました」

本格的に就農が決まり、お米や農業のことを勉強。改めてお父さまとも話し、岡元農場を継ぐにあたっての心構えを話した、と岡元さんは話します。

「きちんと覚悟を持って戻るから、引き継ぐべきことはきちんと教えてほしいと伝えました」

江戸時代から先祖が紡いできた家業をしっかり継ぎ、豊かな自然に囲まれた圃場を保ち、岡元農場のお米を楽しみにしてくれているお客さまの笑顔に守りたい。そんな気持ちを固めて戻り、現在で1年弱が経ちました。

今、どのようなことを考えながら農業に臨んでいるのでしょうか。

「まずは経験したことを材料に、判断することを繰り返しています。農業は、毎年毎年同じことをしていればいいということはないんです。どうしても自然環境に左右されてしまう部分があって、自分で管理できない部分は、経験をもとに論理的に考えてカバーしないといけません。例えば、2023年の夏は『こんなに暑くて雨が降らないのは初めて』と父が言うほどいつもと違う夏で、水の管理が特に大変でした。でも、大変だった分だけ私自身も考える機会が増えるし、とてもいい経験になったと思います」

天候や周辺環境との共生などコントロールできないことがあるなかで最良の方法を模索し、実験し続ける。岡元さんの表情には、試行錯誤をしながら一歩一歩進み続ける、小さくとも確かな達成感が垣間見れました。

半分以下の農薬、有機肥料100%で育てるお米

現在、岡元農場が育てているお米は、ゆめみづほ、コシヒカリ、厳選プレミアム米(特別栽培米コシヒカリ) 、ひゃくまん穀、カグラモチ(もち米)。お米のみならず、地域の特産である加賀丸いも、特別栽培米コシヒカリの玄米を使用した玄米粉、特別栽培米コシヒカリを使用した原料お米由来100%の本みりん「のみりん」なども作っています。

今回、ソラミドごはんで取り扱わせていただくのは『厳選プレミアム米(特別栽培米コシヒカリ)』です。その特徴は、甘みと粘りが強く、通常のコシヒカリよりも一粒一粒の食べごたえがしっかりとしていることです。つやつやと炊きあがったお米は、食卓の主役となるでしょう。

岡元さんがおすすめする食べ方は、あっさりとした和食に合わせること。

「梅干しなどの漬物、味噌汁といったシンプルなおかずと一緒に、お米のおいしさを楽しんでいただきたいです。私は塩辛や富山の珍味である黒造り、加賀丸いものとろろと食べたりもします。とてもおいしいですよ」

岡元農場のこだわりは、そのお米の味わいだけではありません。「田んぼはたくさんのカエルやドジョウなどの生き物が住処にしていて、にぎやかですよ」と岡元さんが言うほどに、自然にも人にもやさしい栽培法を実施しているのです。

名称にある「特別栽培」とは、慣行農業に比較し、対象となる種類の農薬と化学肥料の使用量が半分以下、という農林水産省の「特別栽培農産物に係る表示ガイドライン」に準拠する栽培法のこと。岡元農場では肥料についてさらに踏み込んで、化学肥料ではなく有機肥料100%で育てています。

さらに収穫したすべてのお米は、もみ殻を取り去り、玄米の状態で専用の冷蔵庫に保管。お客さまから注文が入ってから精米し発送しているため、最適の状態で届けられます。

注文されるお客さまのなかには、毎年、新米の季節を楽しみにされている方もいるのだそうです。

「2023年の新米では『今年の新米もとてもおいしかった。岡元さんのところのが届くまで他所の新米を食べずに我慢してよかった!』と感想をいただきました。家族で買いにいらっしゃる方からは『子どもが岡元農場のお米を気に入って、他のは食べなくなってしまったので、また買いに来ました(笑)』と。お米を気に入ってくださったことも、おいしいと伝えに来てくださったことも、とても嬉しいです」

土作りから始まる、お米づくり

岡元農場には、『厳選プレミアム米(特別栽培米コシヒカリ)』はもちろんですが、他の品種も慣行栽培基準より農薬を抑えて育ています。ですが自然にやさしい栽培法は、ややもすると手間がかかるもの。圃場の管理は大変ではないのでしょうか。

「大変は大変ですが、もともと岡元農場では『自分たちのキャパシティを超えず、自分たちの目で見られる広さだけ』という方針を徹底してきたので、大きすぎる負担にはなっていないんです」

その背景にあるのは、「圃場を拡げて利益を得ることよりも、お客さまの食卓においしさを届け、能美市の豊かな自然との調和を守ることを優先する」という哲学。このために25年以上丹念に取り組んできたのが「土作り」です。

例えば、生えた場所で種を落とし、次の年には何倍もの数になってしまう雑草。圃場では一切生やさないように、管理を徹底しているそうです。

「その他、圃場のものはなるべく圃場に還すという考え方のもと、もみ殻やぬかを次の年の肥料にしています。それだけだと栄養が足りないので、能美市内の学校で残った給食を発酵させた堆肥も使っています。自然の恵みをできるだけ無駄にせず、化学肥料を抑えながら、自然にも人にもやさしい土作りをしているんです」

土作りのためにもうひとつ徹底しているのが、バランスよく栄養を鋤き込んでいくこと。

「圃場ごとに栄養の偏りがあると、お米のおいしさにも偏りが出てしまいます。その年に他よりも生育力が弱かった圃場には少し多めに肥料を入れたりして、全体的にバランスよく栄養を配分することで、岡元農場のすべてのお米のおいしさが底上げされるように気を配っています」

たかが米、されど米、と岡元さん。土作りに込めた想いはお米とともに、たくさんの食卓に届いています。

技術と想いをしっかり継承したい

岡元農場は2022年と2008年に賞を受賞しています。ひとつは、経営や技術の改革に取り組み、地域社会の発展にも貢献した方を表彰する「第51回 日本農業賞大賞」。もうひとつは、中部9県(愛知、岐阜、三重、静岡、長野、富山、石川、福井、滋賀)で、農業経営や地域農業の発展に貢献した方を表彰する「第68回 中日農業賞農林水産大臣賞」です。

これを受賞したのは、いずれもお父さま。岡元さんの今後の目標のひとつは、日本農業賞大賞よりも大きい賞を受賞してお父さまを超えることです。そのために、まず圃場に立って経験を積み、同時にスマート農業をどんどん取り入れていくのだと言います。

スマート農業とは、ロボット技術やICTを使って作業効率を高め、より高品質な農産物を目指す農業のことです。岡元農場では、すでに病気や害虫を防ぎ、肥料を散布するためにドローンを活用していますが、岡元さん自身は、知識や経験の継承という点で注目しています。

「今、農家それぞれが持っているたくさんの知識や経験は、農家自身と周りにいる人しか役立てられません。理想は、経験がデータとして可視化され、誰でも参考にできることです。農業従事者全体が高齢化しているなかで農業をデジタル化できたら、若い人の就農促進に大きな助けになると思いませんか。そんなことができたら、私自身も活用したいです。就農して間もない私は、今、父からたくさんのことを受け継いでいる最中です。でも、30年40年かけて経験を積み上げてきた農業の先輩に張り合うには、それだけでは足りません。その足りない部分を補うために、スマート農業の使いたいと考えているんです」

おいしい食卓を守るために、お父さまの経験をきちんと継承していく。その上でお父さまの背中を超えていく。東京からのUターンを決めたときの「岡元農場の看板を背負っていくのだ」という覚悟がひしひしと伝わってきます。

岡元農場のスローガンは、「Nice Rice de Smile! ~おいしいごはんで笑顔に~」。能美市の豊かな自然や地域の圃場を守りながら、お客さまを想う気持ち

が込められています。

「やっぱりお客さんあっての農場だと思います。岡元農場のお米を食べてただお腹を満たすだけではなく、笑顔になってもらいたい。そのためにおいしさと安心はちゃんと届けていきたいし、私もそんなお米を自信を持って送り出せるようになりたいです」

能美市の恵みを受けながら育ち、おいしさとやさしさも込められたお米。今日も湯気を立てふっくらと炊きあがり、どこかの食卓に笑顔をもたらしているのでしょう。

取材/執筆:松本麻美
編集:貝津美里
写真:岡元農場提供