薪窯の火が作り出す焦げ「火色」の自然な風合いが暮らしを豊かに
川尻製陶所
全国的にも貴重な、登り窯で焼いた土鍋です。
薪窯の火が作り出す焦げ色「火色」の自然な風合い暮らしを楽しむ道具としておすすめの、こだわりの一品です。
川尻製陶所さんの商品一覧
子どもの頃から好きだったものづくり。
陶芸家としての原点・益子町で登り窯を継いだ
川尻製陶所|川尻琢也さん
生まれも育ちも栃木県芳賀郡益子町の川尻琢也さん。
中学へ進学するのをきっかけに、幼稚園から大学までの一貫校でもある自由学園に通うため、そのあいだ住まいは東京でした。
陶芸家として志す最初のキッカケは、小さなころから陶芸家のご両親の工房の中で粘土遊びが日常だったことや、中学から大学まで在籍していた自由学園でさまざまなものづくりの中で育まれました。
将来はなにかしら「伝統工芸品」の作り手としてやっていきたいという思いがあったので、大学3年生くらいまではいろんなものづくりに挑戦。
その結果、ご両親の工房や登り窯を継ぐことに決められたそうです。
大学卒業後、地元の益子町に戻り陶芸の訓練校に通いろくろの回し方から学び、そのあと沖縄で修行をつんで、ようやく腰を据えてこの工房で作り始めたのが2010年から。
ご自身のご両親の世代が益子町にたくさん移住されたころと比べると、今は登り窯を持っていても使えない人や使わなくなった人がいて、幼い頃の記憶と比べても町中に登り窯の煙が上がる機会が少なくなった気がするそうです。
ガスや電気は綺麗に均一に焼きあがりますが、登り窯の特徴は炎が当たる場所などによって「火色」の風合いがでるところ。
砂分の多い特徴を持つ土も益子のものを使い登り窯にこだわっている川尻さん。電気窯だとスイッチ一つで焼けるものもありますが、登り窯で焼く時は24時間体制でだいたい2日かけておこなわれます。
今はご両親と協力しながら火の番をする。想像しただけでもかなりの労力ですが、その分登り窯でしか焼けない風合いの作品が出来上がるのが楽しいとおっしゃってる川尻さんの表情から焼き物への愛情を感じました。
取材の前日にも開催されていたのですが、ネイチャーキッズという子どもたちに「自然体験活動」の教育支援の団体のコースの一環として「民泊」した子どもたちに陶芸教室を開いて陶芸の体験や登り窯を知ってもらう機会になっているそうです。
「夢のまた夢ですけどね」と前置きされて、今は使われなくなった益子中の窯を使って色んな人に陶芸を体験してもらえるようなお祭りができたらいいなと考えることがあるようです。
あっという間に作品が仕上がります。
「続けていくことが次につなげていくことになるんじゃないか」
と川尻さんはこの益子町で登り窯で陶器を製作し続ける意味を考えます。
自然が身近にあるここ益子は外から入ってくる人たちを受け入れてくれやすいので、移住されてきた人にも住みやすいところだと思いますよ、というのが最後に益子の良さを尋ねた川尻さんの答えでした。