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自然豊かな逗子で生まれる陶器たち

五十嵐貴子

神奈川県・逗子市

神奈川県・逗子市の工房で器をつくる、陶芸家の五十嵐貴子さん。落ち着いた土の質感に、優しさとかわいらしさが見え隠れする、絶妙なバランス感覚で作品をつくられています。

五十嵐貴子さんの商品一覧

器も、作り手の気持ちも。軽やかであり続けたい。
自然豊かな逗子で生まれる陶器たち│五十嵐貴子さん

神奈川県・逗子市の工房で器をつくる、陶芸家の五十嵐貴子さん。落ち着いた土の質感に、優しさとかわいらしさが見え隠れする、絶妙なバランス感覚で作品をつくられています。今回は、五十嵐さんが陶芸家になられた経緯や、作品づくりに込める思いについて伺いました。五十嵐さんご自身の、そして五十嵐さんが生む器たちの、軽やかな魅力の裏側を覗き見ます。

陶芸を通して生まれる、数々のつながり

──五十嵐さんが陶芸を始めた経緯を教えてください。

短大を卒業してから、会社員として5年ほど事務職をしていました。でも、その後の生き方を考えたときに、もうちょっと別の道で生きてみるのもありかもしれないと思い立って、ふらりと会社を辞めまして(笑)。

ちょうど仕事を辞めたあと、偶然にも友達から陶芸教室に誘われたんです。横浜の陶芸教室で開催される、3ヶ月ぐらいの短期のコース。そこで初めて、器をつくりました。

教室に通ううちに、陶芸教室のスタッフさんともしゃべるようになったりして。当時、助手の方が辞めてしまうという話があったんです。それで「今、仕事探してるんですよね」なんて気軽に言ってみたら、快く「じゃあやってみる?」と。

それからは、教室で助手をしながら、陶芸を学ばせてもらいました。そのまま少しずつ自分の作品をつくるようになっていった、という感じです。今でもその陶芸教室では働かせてもらっていて、ほかにもいくつかの教室で講師をしながら、逗子にある自宅の工房で作品づくりを続けています。

──陶芸の道に進まれたのは、偶然のことだったのですね。ものづくり自体は昔からお好きだったんですか?

手芸とかはもともと好きでしたね。子どものころから、ビーズや編み物が好きだったんです。社会人になってからも、空いた時間に編み物をしたり、洋服のリメイクをすることもありました。でも、陶芸家になるなんて、本当に思ってもみませんでしたね。

──いざ、陶芸を始めてみて、その道で生きていこうと思えたのはどうしてだったんでしょうか?

やっぱり、自分の手を動かして何かをつくるのが好きだったんでしょうね。

陶芸を始めたばかりのころは、個人的に器を作って生活している作家さんがいることも、あんまり知らなかったんです。その方たちの展示を見に行くようになって、とても刺激になりましたし。陶芸教室の同期と、少しずつイベントに出展するようにもなったりして。

作品を通して、人とつながれる楽しさを感じられたのも大きかったです。作家さんとの出会いがあったり、お客さまに声をかけていただいたり。褒めてもらうこともあれば、「もっとこういう器がほしい」とお声をいただくこともあります。そういった言葉やつながりの数々が、作品づくりの糧になっています。

軽やかな気持ちから生まれる、軽やかな器たち

──五十嵐さんが、作品づくりのうえで大切にされているのはどんなことですか?

軽やかさ、でしょうか。器そのものを、軽くて使いやすいものにするのもそうですし。

「次はこんな器を作ってみたい」という気持ちに対しても、軽やかでいたいと思っています。

新しいアイディアを試すことに、前向きでいたいでいたいなぁ、と。何かアイディアが浮かんだら、できるだけすぐに「まずはやってみよう」と動ける人でありたいですね。

それに、「今日はこの器を使いたいな」と、お食事の時間がウキウキと軽やかになるようなものを作れたら、という思いもあります。器そのものも、使う人の気持ちも、作り手自身の気持ちも、軽やかにできたらうれしいですね。

──私たちが作品のお取り扱いについてお声掛けさせていただいたときにも、軽やかに対応してくださいましたね。

人とのつながりに関しても、フットワークの軽い人でありたいと思っているんです。

ソラミドさんに声をかけていただいたときは、ネットで販売するのも初めてで。でも、いつかやってみたいと思っていたところだったので、チャレンジさせてもらいました。

──五十嵐さんの器は、土の素朴な雰囲気を楽しむことができる質感を持ちながら、どの器も見た目以上に軽いというか。使いやすさの面にもかなりこだわられていますよね。

そうですね。やっぱり、食器は毎日使うものですし、できるだけ使いやすさにもこだわりたいなとは思って作っています。できるだけ軽く仕上げるのもそうですし、染みのつきにくさなども考慮しています。理想的の形と実用性のバランスをとるために、本当に試行錯誤の日々ですね。

自然豊かな逗子で、器をつくり続ける

──作品のモチーフは、どこから発想を得ているんですか?

身近にある自然からアイディアをもらうことが多いですね。木やガラスの器から、「土でもこんな表現ができたら面白そう」と、インスピレーションを得ることもあります。

──工房のある逗子が、自然豊かな場所ということも影響しているんでしょうか。

それもあるのかな、と思います。

海があって、緑も豊かな街なので、日々散歩をしていると本当にいろいろな自然が目に入るんです。植物だったり、石だったり、貝だったり。自然がつくるものの形って、不思議で面白いですよね。

──作品づくりをしていて、どんなところが楽しいと感じてらっしゃいますか?

私にとって、自分の作品をつくる時間は、一人で工房に入って没頭できる時間です。そんな時間が、とても楽しくて。毎日が忙しく過ぎていくなかで、工房で過ごせる自分だけの時間というのが、とても貴重で大切なんです。

一方で、陶芸教室でのお仕事にも、また違った面白さがあるんですよ。

教室では、私が得意じゃない技術だったり、自分の作風とは少し違った器づくりをお教えすることもあります。ある意味、私自身も強制的に学ぶ機会をもらえるので、新しい気付きを得ることも多いんです。
それまで、食わず嫌いのように触れてこなかった技術に対して「作品づくりにも応用できるかも」とひらめいたり、思いがけない発見に出会えることも少なくありません。

だから、私にとっては、作家活動と陶芸教室のお仕事の2軸で陶芸に関われていることが、本当にラッキーだと感じています。

──これからの目標があれば教えてください。

最近、地元にも何か還元できたら、という思いを持つようになってきました。年齢を重ねるにつれ、地域とのつながりを感じる機会も増えていて。逗子で生活をしている、という実感が年々強くなってきています。

いままでずっと住んできた場所なので、当たり前になってしまっていたけれど、逗子は自然が豊かで本当にいい街なんだって、再確認できるようになってきました。

これから、地域でも陶芸を通してちょっとした交流のきっかけを作れたりしたらいいなぁ、なんて、ひっそりと考えているところです。そして、私自身この逗子で、できるだけ長く器を作り続けていきたいですね。