味はあとからついてくる。自然本来の力を最大限に引き出す米づくり
平和農園
お米づくりのこだわりは、とにかく余計なものを使わず、自然の力に任せること。
慣行農法では、肥料・農薬を使い、収穫後も乾燥機にかけて乾かすことが一般的ですが、『平和農園』では余計なものは一切使わず、お米の水分も時間をかけて天日干しをすることで乾燥させています。
平和農園さんの商品一覧
「自然体な暮らし」を求めてたどり着いたのが米農家という生き方だった
『平和農園』生産者・高荒太さん
『天日干し 自然栽培米ヒノヒカリ』は、農薬や肥料・除草剤などを一切使用せずに育てられ、収穫後は、天日に当ててじっくりとお米の水分を飛ばしています。まさに、太陽と土と水といった自然本来の力だけで、手間をかけて育てられたお米なのです。
生産者は大分県由布市にある『平和農園』の高荒太さん。ある本を読んだことをきっかけに「安心安全なものを自分で作りたい」という想いが募り、お米や野菜づくりに励んできました。ソラミドごはんでもお取り扱い中の『天日干し 自然栽培米ヒノヒカリ』の栽培におけるこだわりや、お米づくりを通じて届けたい想いを伺いました。
本当の“安心安全”を求め、米農家へ
2019年、大分県由布市に移り住み米づくりを始めた高荒さん。およそ10年前、自然農法の先駆けとして名を馳せる福岡正信氏の著書『自然農法 わら一本の革命』を読んだ高荒さんは、「安心安全な食べ物を自分で作ってみたい」と感じるようになりました。
「病気をせず健康でいるためには、安心安全なものを食べることが一番だと思うんです。せめて、主食となるお米だけでも自然のものが食べたい。最も安心安全なお米に出会うためには、自分で作るしかないと思ったんです」
お米づくりをしたい気持ちを抱きつつ、福島県出身の高荒さんは東日本大震災をきっかけに屋久島へ避難することに。屋久島は気候柄、田んぼが少なかったため、さつまいもや里芋など野菜づくりに励みます。
「無肥料・無農薬でおいしい野菜をつくれたのであれば、お米も自然の力だけでおいしく仕上がってくれるはず」。そう感じた高荒さんは、田んぼを求めて大分県へ移り住みました。およそ10年の時をかけて「自分でお米をつくりたい」という念願の夢を叶えたのです。
味はあとからついてくる。自然本来の力を最大限に引き出す米づくり
お米づくりのこだわりは、とにかく余計なものを使わず、自然の力に任せること。
慣行農法では、肥料・農薬を使い、収穫後も乾燥機にかけて乾かすことが一般的ですが、『平和農園』では余計なものは一切使わず、お米の水分も時間をかけて天日干しをすることで乾燥させています。
高荒さんが自然農法にこだわる理由は、安心安全で、そして何より“おいしい”から。
「味はあとからついてくるものだと思っています。『こんな味を目指そう』と目標を据えるのではなく、とにかく自然に身を任せることで、その土地ならではのお米が出来上がります。天日干したお米と乾燥機にかけたお米は全然違いますよ。自然本来の力が発揮されるように、僕たちがところどころで手を入れる。そうすることで、おいしいお米に自然と仕上がります」
『平和農園』が扱う『ヒノヒカリ』は比較的小粒のお米。少し粘り気があり、ほんのり甘くてもっちりとした食感。冷めてももちもちとした食感が持続する品種です。
「九州では昔から『ヒノヒカリ』を作っている米農家さんが多かったんです。ということは、この土地で作るなら『ヒノヒカリ』が合うのかなと」
高荒さんイチオシの食べ方は「玄米」で食べること。ぬか層が付着した玄米は、弾力が高いため腹持ちも良く、お腹の調子も整えてくれます。
「玄米が苦手な方でも、七分づきをぜひ試してみていただきたいです。七分づきであれば、食感はほとんど白米と変わりません。肥料・農薬を使ったお米であれば、しっかりと精米し、ぬか層を取り除いたほうが安心かもしれません。しかし、せっかく無肥料・無農薬の僕たちのお米を選んでくれたのであれば、ぜひとも白米ではなく、玄米・五分づき・七分づきに挑戦してみていただきたいです」
安心安全な食を求めて『平和農園』のお米にたどり着いたお客さんの中には、リピートされる方も多いのだとか。
「『おいしかった!』と感想をもらえると、すごく嬉しい気持ちになります。『何がどうだからおいしい』って説明する必要なんてなくて、おいしいものって、ただただおいしいってだけでいいんですよ。その感想が一番うれしいですね」
田んぼに入ることで感じる、自然体な暮らし
慣行農法の場合、除草剤を巻けば草は生えてこないため、田んぼに入る必要はほとんどないのだとか。しかし、高荒さんは草取りのために、年に3回は田んぼに入ると言います。
「人間が田んぼに足を踏み入れ、空気が入るからこそ根っこがうまく育ち、おいしいお米ができると言われています。中腰になって草取りをするのは確かに大変です。でも、水に入ると冷たくて気持ちがいいし、いまはもう準絶滅危惧種と呼ばれるような水生昆虫にもたくさん出会うことができます。豊かな生態系がここにはあるんだなと、田んぼに入るたびに思いますね」
大変なことはあれど、自ら田んぼに入り自給自足する暮らしを高荒さんは「一番人間らしい暮らし」と表現します。高荒さんにとって米づくりは“仕事”ではなく“暮らし”。一番ありたい暮らしを目指した先が米農家になることでした。
「安心安全な玄米とごま塩さえあれば、僕は病気にはならないと思っています。お米を主食に、あとは季節に沿った野菜をいただく。それが僕にとって一番の“自然体”です」
よく噛んで、自然を感じてほしい
高荒さんがたどり着いた“自然体”な暮らし。「人間の本来の姿にみんなで戻っていこうよ!」と高荒さんはお米づくりを通じて伝えたいと言います。
「みんな食材に見た目の良さや安さを求めていて、おいしさや安心安全であるかどうかは二の次になっていますよね。当然、無肥料・無農薬で作れば、虫食いは出るし、大きさや形は不揃いになります。農家も本当は肥料や農薬を撒かなくたって、食物は育つと本当は知っている。でも、それでは買い取ってもらえないから、肥料や農薬を撒かざるを得ないわけです」
「買い手の意識が変わらなければどうしようもない」と高荒さんは続けます。
「僕が一冊の本を読んで米農家になったように、買い手の意識が変わるには何かきっかけが必要なんだと思います。僕らのお米もそのきっかけの一つになれたらいいですよね。
『天日干し 自然栽培米ヒノヒカリ』は噛めば噛むほど、味が出てきます。100回噛めば、自然の恵みを感じられるはず。その味わいを通じて、少しでも自然を大切にしようと思えたり、人間が本来あるべき“自然体”な姿に想いをはせるきっかけになってくれたら何よりです」
私たちのからだをつくる食事。その中でも特にお米は、長らく日本人の健康を支えてきました。
「おいしい米さえあれば大丈夫!だって、米が日本人のルーツですから」
そう快活な口調で話す高荒さんの言葉を聞いていると、たしかに大丈夫な気がしてきます。自然の恵みをたっぷり含んだお米を、よく噛んで、よく味わう。それが私たちの“自然体”であるならば、忘れてしまっていた自然とのつながりも、きっとまた思い出すことができることでしょう。
取材/執筆: 佐藤 伶
写真: 平和農園 提供